2011年10月10日

9月に観た映画まとめ

9月分まとめ。


クラッシュ

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昔大阪の塚本駅で、アラブ人(たぶん)の親子が、切符を買わずに改札を通ろうとして、駅員に止められていました。

父親らしき初老の男性はおろおろと戸惑っていて、横の息子らしき青年は父をかばって駅員に抗議しています。しかし2人とも日本語が話せない。


駅員は切符の販売機へ2人を連れて行き、目的地を聞こうとするんですが、どうにも意思の疎通ができません。

そのうち父親が駅員にお金を渡したので、駅員はそれを自販機に入れようとします。すると何を誤解しているのか、息子が絶対にお金を入れさせまいとするのです。雰囲気からして「勝手なことをするな!」といったことを叫んでいたようです。

そして2人は切符を買わないまま、再び改札へ。当然、駅員はあわてて止めます。


父親は必死の表情で駅員にお金を押しつけ、改札を通してもらおうとします。

駅員が「だめだめ」と叫びながら2人の前に立ちはだかると、息子は激怒して駅員を突き飛ばしました。別の駅員もやってきて、押し合いのような状況に。

すると息子は再び何か抗議して、ついには泣きだし、父親の肩をかき抱くようにして駅を去ってしまいました。

彼はずっと何か叫んでいました。「どうして判ってくれないんだ」、おそらくそんなことを言っていたんじゃないかと思います。


彼らにどういう誤解があったのか、知る由もありません。どうすべきだったのかも。

こんな簡単なことでも、人はわかり合えない。

この映画を観て、そんな昔のことを思い出しました。


薔薇の名前

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昔観て寝落ちしたため、再度挑戦。やはりその時々の相性があるのでしょうか。今回は眠いどころか、わくわくして観ました。

1300年代のイタリア。修道院という男だけの閉じた世界で、奇怪な連続殺人事件が起きます。この謎を解くのがイギリスからやってきたショーン・コネリー。

それにしても、中世ヨーロッパだけは絶対に住みたくないですね。

薄暗くて不潔でじめじめして、治安悪くて、ろくな食べ物がなくて、疫病が流行して、終末思想がはびこって魔女裁判とかやってる。その上でホモソーシャル全開の修道院なんて、刑務所よりひどい。いや、中世ヨーロッパ刑務所の「洒落にならなさ」は恐るべきなんですけど。

謎解きの軸自体は大したものじゃないと思います。ですので、これは全体の空気を味わう映画。全編、砂を噛んでジャリジャリするような感覚があります。そこがいいです。


ロッカー 40歳のロック☆デビュー

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こういう楽しさって久しぶりだなあ、と思いました。全編、妙な多幸感にあふれた映画です。

大手レコード会社とのメジャー契約と引き換えに、ロックバンド「ベスヴィオス」から一人追い出された哀れなドラマーが主人公。20年を経て、ベスヴィオスは超ビッグバンドに。方や主人公は失業してニート状態。

しかし高校生の甥に頼まれて新バンドに加入する、というお話。

古き良きロッカーとしてふるまう主人公と、クールだがおとなしく「いい子」たちな高校生の対比が面白い。元気なおっさんというのは、もうそれだけで笑いと悲哀が同居してる。そして物語としてのメッセージはバンドの演奏する歌詞で表現できるから、非常に判りやすい。

この話は、実はモデルとなる人がいます。

それはあの「ビートルズ」のメジャー契約直前にクビになったドラマー、ピート・ベスト氏。

本作ではこの方がゲスト出演してます。


オー!マイ・ゴースト

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これは面白かった。人間嫌いの偏屈歯医者が、一時的に「死んだ」ことで、幽霊とコミュニケーションを取る能力を得てしまう、というコメディ。

幽霊とは皆、現世に心残りがある者たち。アメリカ人にも「成仏しきれぬ」という概念があるんですねえ(本作では、真実はそうではないことが明らかにされるが)。

幽霊たちは、主人公に話を聞いてもらおうと殺到、そこらじゅうのべくまくなしに話しかけられまくる。反論すると、周囲から見れば独り言を叫ぶ変人なわけで、そこが笑いどころ。

最終的には人間嫌いである主人公が、自分の殻をやぶって成長する物語です。

途中かなりきつい中国人ジョークが出てきます。昔は日本人が滅茶苦茶な扱いを受けたものですが、最近は中国人の皆さんも台頭してきたようで(別にそれがいいことととも思いませんが)。


ブラック・スワン

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これは怖くて、痛い映画。

単純にホラーなシーンもあるが、そういうストレートな意味ではなく、精神的な方で。演劇にかぎらず、何かしら「表舞台」に立とうとして行き詰まった、限界を感じた、打ちのめされた人に深く突き刺さるような棘がある。

でもそれって、立ったことのない、その世界に真の意味で入門したこのない人には絶対に判らないことでもある。

なりたい自分、なれない自分。外に見える自分。他人からは見えない自分。

ただまあ映像的には、サイコスリラーといえば聞こえはいいが、「なんでもあり」になってしまっているとも言える。

本物のバレエを観てみようかな、そう思えた作品でした。


奇人たちの晩餐会USA

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これはつまらん。面白くない映画だった。もちろんクスッと笑うくらいのことはありましたが、特大のため息をつくシーンの方が多かったです。

原作のフランス版が好きで、今回、ジャケットにも写っているハリウッド版のスティーブ・カレルの、「ほら見て、うふ、えへ、ねえねえ、僕の面白い顔、えへえへ」みたいなわざとらしい表情を見て大いに不安を覚えたのですが、不安を覚えるくらいなら観なきゃよかった。

オリジナル版に出てくる「国税庁の男」は、バカで要領が悪くどんくさい奴ではあったが非常識ではなかった。他人の家に不法侵入したり、他人のワインボトルを壁に投げて破壊したりはしなかった。そんなやつが「あいつはバカ」呼ばわりされて一人前に落ち込む表情を見せられても、万が一にも同情できない。この場合の「万が一」とは文字通り、10000分の1という意味で。


イースタン・プロミス

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ロンドンの病院に運びこまれる身元不明のロシア人少女。少女は出産して息を引き取る。助産師のアンナは少女の日記を頼りに、彼女の身元を割り出そうとするうち、ロシアン・マフィアの運転手を務めるニコライと出会う、というお話。

主人公ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)の男の魅力が爆発してます。全編、彼の色気を表現するために作られているというか。

サウナでの全裸戦闘シーンは圧巻でした。全体的に派手な銃撃戦やアクションがあるわけではなく、鍛えられた男同士が刃渡りの厚いナイフをもって、原始的に戦う。普段が淡々としているだけにそのひとつひとつが実に痛そうで、静と動の連続が楽しかったです。

で、もうちょっと観たいと思わせるあたりでエンディング。面白かった。


毎日かあさん

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西原理恵子の原作を映画化。漫画家のサイバラと、元戦場カメラマンの夫。夫はアルコール依存症から入退院を繰り返します。

前半「ダメ親父」だった夫が、後半本当に「親父がダメ」になってしまう。笑った分、悲しみの揺り戻しが来るという仕掛けですね。

このあたりは以前観た『酔いがさめたら、うちに帰ろう』と同じです。実話だから当たり前ですが、あちらは夫の原作ですから夫視点、こちらは妻の視点で描いています。そのため同じエピソードなのに同じ話にならない。またあちらでは浅野忠信の飄々とした感じが、ある意味夫に都合良く描かれた作品にあっていたし、こちらは永瀬正敏の少し神経質な感じが「どうしようもない人」感が、夫に全く都合良く描かれていない本作に合致していました。両方観ると本当、面白いです。


銀河ヒッチハイクガイド

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以前から、何かと「人生、宇宙、すべての答え。それは42」という言葉が各種のパロディなどなどにあらわれて気になっていたにも係わらず、元ネタになっている原作を読まずじまいだったので、観てみました。

地球が銀河ハイウェイの建設予定地に当たるというので、宇宙人が急にやってきて地球を行政代執行。つまり取り壊し。その公示はアルファ・ケンタウリの出張所に50年前から掲示されていたそうなので、見てない地球人が悪い(笑)、というお話。

原作は1980年代のハヤカワSFということで、さぞかし皮肉の効いた知的ユーモアものなんだろうと思いつつ観ると……見事なバカ映画(いい意味で)でした。実にしょうもなくて良かったです。話が進めば進むほどくだらなさが倍増していく展開は見事でした。


レクイエム・フォー・ドリーム

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これはいい映画。主にドラッグの恐ろしさを真正面から見せて、もちろんハッピーエンドになんてなりようのないお話。楽な快感を求めて中毒になったら、人生ろくでもないよと教えてくれます。

自分はもっと光り輝く、幸せな、すばらしい日々を送るはずだった、そう思っていても現実はそうじゃない。ひとついいことがあれば、ふたつくらい悩みがついてくる。時には悩みだけ残っていいことは雲散霧消してる。もう何も考えたくない、そんな風に思うあなたに、いいお薬が。で、お薬はあなたの体から「悩み」というゴミを取り払ってくれます。やった最高!って思ってたら、いつのまにか全身から腐臭が漂ってきて、あなた自身がゴミになってたというわけ。もう捨てるしかないね。だからレクイエム。

観ていて落ち込む映画ですが、文部科学省推薦で、お願いします。


下妻物語

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茨城県下妻に住み、ロリータ・ファッションに身を包んだ少女・桃子(深田恭子)がヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)と出会い、数々の騒動に巻き込まれつつ強力な生き様を貫く、というお話。

もしかしたら田舎には今も生き残っているかもしれない、不良のロマンティシズム。かなりの傑作でした。

生来の真面目さを隠してヤンキーになったイチゴと、その真逆でロココ調に憧れた桃子。どちらもそのこだわりは、過去の「痛み」によってもたらされています。だからこそ、彼女たちがお互いに補完しあう姿が違和感なく見える。自分の道を突き進むには勇気がいるが、ヤンキーにしてもロリータにしても、バカにする人はいるわけで、それを貫くには強くなくてはいけない。少女たちがその強さを備えて立つ姿が感動的ですらあります。

あんまり面白いから、2回連続で観てもまだ面白かった。

あと監督、深田、土屋の3人によるコメンタリーがまた面白く、良かったです。


ウォール・ストリート

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冷酷非情なコン・ゲーム。天才たちの頭脳を賭けた頂上決戦。人智をこえた金融工学による予測不能なマネーゲーム。

そういうのはひとつもありません。「ソーシャル・ネットワーク」みたいなわくわく感はなかったです。

なんだろう。オムライスのような、幕の内弁当のような、コロッケのような。けして突き抜けるような味にはならないメニュー(これは僕の偏見ですね)というか。

ただマイケル・ダグラスの「俳優力」はさすがで、画面を観ようという気にさせます。

8年の服役を終えて出所するカリスマ投資家ゴードン(マイケル・ダグラス)。こいつと彼の娘の婚約者で金融マンであるジェイクの物語。

後半、1億ドルをめぐる駆け引き、じゃなくて単なる詐欺があるんだけれども、それを「え?それで許すの?!」と驚いた。人がひとり死んでんねんで!という突っ込みもあり。

本作で判ることは、「投資に必要なのはタネ銭」という厳然たる事実。お金のない人は投機、ダメ。絶対。


完全なる報復

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典型的復讐モノだと思ったら、全然違った。

なんと映画が始まって3分で家族を殺され、さらに冒頭30分で復讐完了。えっ、話が終わっちゃうじゃん。どうすんのと驚くも、そこから怒涛の展開。

そもそも主人公は妻と娘を2人組の強盗に殺されたのですが、成績第一の検事が主犯と司法取引。従犯を死刑として主犯をたったの禁固5年とした経緯があります。しかし検事にも言い分はある。いわく違法収集証拠だった、失敗すれば2人とも無罪になってしまう云々。

ならばと主人公が標的に定めるは、国家の司法制度そのもの。家族の死から10年を費やして遠大なる報復計画を練り上げるのです。ただ荒唐無稽すぎて「すごく賢い中学生が考えた」みたいな作品。バカらしくも清々しく、思わず手に汗握る自分がいました。男として、どうせ復讐するならこれぐらい徹底的にやらんかい、という気持ちも抑えきれない。

ただし後半はちょっと興ざめ。ただのオッサンがここまでやった、というのが良かったのに。



ぐるりのこと

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ひと組の夫婦の、破壊と再生というか。

本作は演出上イライラすることがあって、最たるは「黒い丸ワイプでシーンが切り替わる」こと(サザエさんのエンディングみたいなやつ)。別に面白いシーンじゃないんですよ。暗くシリアスな場面でもそれをやる。変なの。

ただまあ、怒り泣きしてる最中でもお腹すいたな、とか、こいつ殺したいと思っていても同時に鼻毛がかゆい、とか、人間色々同時に考えることはあるわけで、ひとつの感情だけで支配できるほど単純じゃない。

そういう、人生とはそう判りやすいものじゃないということが描かれているような気もしました。

また本当につらいことや困ったことがあると、他人というのは役に立ちません。

酒を飲もうが遊び回ろうが、それを忘れて消化するというのはできない。一体何がその苦悩を解決するか。これはもう時間しかない。ならばせめてその「時間」を寄り添っていこうと思えるのが、愛情というものなのでしょう。


英国王のスピーチ

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第二次大戦前夜、吃音に悩む英国王ジョージ6世が自らの悩みを克服するまでを描いた実話。

演説が苦手な英国王。そこに立ちはだかるのがヒトラー。演説の天才。そんな英国王には、ヨーク公時代から付き合いのある言語聴覚士ライオネルが寄り添っている。これは形を変えた「ロッキー」ですよ。ふたりで発音練習の特訓をするあたりは、そのまんま同じです。目標に向かって突き進む人間の姿というのは、それだけでいいものですね。

映画が始まった冒頭からラストまで、心から英国王を応援してしまってました。ライオネルいわく、「生まれついての吃音はいない」。お話が進むにつれ、ジョージの抱える心の問題(幼少時の虐待)が明らかになっていきます。ライオネルとの友情を通じて、男は壁を乗り越える! 友情、努力、勝利!

また父ジョージ5世、ボールドウィン、チェンバレンといった面々が「似てる」のも嬉しいところ。ただチャーチルだけは「チャーチルの物真似してる人」にしか見えず、画面に出てくるたびに失笑してしまいました。


幸せはシャンソニア劇場から

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僕はこういう「小屋」を描くお話が大好きです。緞帳が上がり、暗い舞台裏から照明の輝く表舞台へ。ハレーションの隙間に見える観客の顔。今日やってきた観客たちが喜ぶかどうかが評価の全て。この恐怖を耐えきるには、常人ではいられない。けれどもちろん、劇場を出れば普通に生きる生活人でもある。

パリの下町。人民戦線が出てくるから、1900年代前半かな? そこの劇場が不況とストで閉じてしまう。必要なのは定職だけど、スタッフたちはなんとか劇場を復活させたい。

じめじめと湿った石畳の小径を少年が駆けてゆきます。みんな貧乏だけど、精一杯生きてる。さあ、泣かす仕掛けは揃いました。小屋を復活させるのは、ひとりの天才歌姫です。舞台は冷酷なもの。努力ではどうにもならないものがあります。天才だけが舞台を支配できるのですから。

そしてようやく、という時に悲劇が待っています。人は堕ちてゆく。昔ドラマで見た、萩本欽一の「ゴールデンボーイズ」を思い出しました。


バーレスク

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田舎でくすぶってたクリスティーナ・アギレラが、華やかな舞台を夢見てハリウッドにやってきて、ナイトラウンジ「バーレスク」でその才能を開花させる!というお話。そこの女主人がシェール。

こういうショービジネスものって、昔はもっと理不尽な意地悪なんかで主人公を追いつめて、耐えて耐えて、最後にやっと認められるという展開が普通だったと思うんですが、本作はそういうまどろっこしいことはしません。

最初に助けてくれるバーテンダーは底抜けに優しいし、シェールも意地悪言わない。同僚もひとりを除いて普通。ひとりだけ敵がいるんですが、あっというまに陰謀を破って勝利。

つまりは割とススッと認められ、シャシャッと頂点に立っちゃう。要はアギレラの歌唱力を楽しむ映画です。


ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!

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ロンドン首都警察に勤める主人公は、あまりの有能さゆえ上司に疎まれ、田舎町サンドフォードに飛ばされる。そこで待っていたのはやる気のない同僚たちと、どこかおかしい村の人々。主人公は周囲となじめず浮いた存在となっていくが、次第に村の恐ろしい秘密が明らかに、というお話。

妙にスピーディな編集で、変わった作品だなーっと思って見てたら、これが意外にめちゃくちゃ面白い。この2ヶ月で観てきた映画の中でも1、2を争う面白さでした。

緻密に組み立てられた脚本なのに、随所ですごくいい加減な描写があり、正しく「B級」という感じ。

後半の展開はまさに唖然。しかし熱い。超燃える。これ観てショットガンを撃ちたくならない男は、もうそんなの男じゃない(笑)。日々を鬱々とすごす男子なら観るべき。

ただしDVDの作りがひどいです。字幕が声とずれます。吹き替えも、音声がでかくなったり小さくなったりする。著作権切れの1000円DVDでも、もっとマシな出来でしょう。


ミート・ザ・ペアレンツ3

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看護師の主人公は、妻と娘・息子に恵まれ幸せな日々。元CIAの義父との関係も落ち着いてきた。しかし製薬会社の女性に勃起不全薬の売り込みをかけられ誤解をうけ、義父と主人公が再び対決!というお話。

非常に安定感のあるコメディ。しかし観た時期が悪かった。本作は「巨大な穴に落ちる」「誤って砂で生き埋め」というシーンがあります。ちょうど本邦では「落とし穴生き埋め事件」という不可思議な事故(事件)が起きました。2chなどでは「逆さまに落ちるわけがない」「すぐに引き上げないのはおかしい」など、事の真相はともかく頭カラッポとしか思えない議論が白熱してます。そういった方はぜひ本作を観るといい。砂に埋まった人間を掘り起こすのがいかに困難か、落ち方など状況でどれだけ変わるか、一瞬で判ります。

しかし本作での「穴に落ちる」描き方自体はいただけない。身長より高い穴に落とされれば、普通はイテテでは済みません。もちろん最大の問題は、作り物を観て真に受ける人々なのですが。
posted by tk219 at 16:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月01日

8月に観た映画まとめ

Facebookは毎日投稿するには実に便利です。8月分は以下。

ハート・ロッカー

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2004年夏。バグダッド郊外。アメリカ軍爆弾処理班の若者3人の38日間の任務を描く。
明確で筋道だった物語はなく、「戦争モノ」というより「戦争」を描こうとしたのかな、というのが率直な感想です。
通常、物語では「その現場に放り込まれた人間は、何を感じるか」が大きな焦点となります。ですから、普通は知らない仕事や場所というのは、それだけで魅力になる。その「現場」の最たるものが戦争で、そこに行った者にしか判らないことは多い上に、戦場の中でも特定の地点・状況に入った者でないと判らないことがあります。
しかし外部の者は、それを想像すらできません。ですから大抵は「人の生き死に」だけを考えます。しかしそれでは生き残った者が抱える問題が見えません。私はイラクに行ったことはないので、本作が描くものがリアルかどうかは判りません。
が、ただ「生き残った者の問題」を抽象的な心理描写に頼らず、「現場」を乾いた視線で描いたのは大したものだと思います。

恋とニュースの作り方
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長年勤めた地方局をクビになり、なんとか全国ネット局の超低視聴率番組のプロデューサーとなった主人公。番組を立て直すため憧れのベテラン報道キャスターを抜擢するが、これがとんでもない頑固者。視聴率も下がるばかり。打ち切り宣告を受けた主人公は、視聴率を上げるため奔走する、というお話。
仕事だけの人生なんて虚しいだけ、けれど着実にキャリアアップして向上したい、自分という存在をこの世界に輝かせたい、もちろん自分の全てに理解のあるパートナーもいなきゃ! という欲張りさんな主人公です。
恋にお仕事、ふたつ同時に試練を受けて、人間的にも成長する。まさに直球ど真ん中、王道まっしぐらのコメディ。この手の作品に興味のない人は、最初からタイトルで避けるでしょうから問題なし。後くされなく、軽く観て楽しめる良作でした。
ただ最近、男が主人公でこういう作品ってあまりない気がします。ウケないんでしょうか。「摩天楼はバラ色に」とか大好きなんですけど。

パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会
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指名手配中の銀行強盗である主人公が、正体を隠して豪邸に逃げこむ。しかしそこの主人は恐ろしい秘密を隠しており、「恐怖の一夜」が幕を開ける、というお話。
悪党とはいえ凡人の主人公が、ハンニバルやアニーやジェイソンの自宅をわざわざ訪問しちゃったようなものです。
ただしやってきた強盗を無理やり歓迎し、延々と続く豪邸主人の独演会はかなりアホらしいです。「ミザリー」みたいな胃が痛くなる展開ではありません。特にプールで一緒に泳ぐところなどは爆笑必至。
普通なら強盗に押し入られた家主に同情するところなんですが、あまりにも運の悪い強盗がかわいそうになってきて、ぜひとも逃げてほしいと思えてきます。人間というのは勝手ですね。
しかし面白いのは前半60分。後半30分はどんでん返しといえば聞こえがいいですが、「こんなオチはどうだ」「それだと矛盾が」「じゃあこうする」といじくり回す内に訳のわからん話になったという印象です。一応、辻褄は合ってるようですが。

クワイエットルームにようこそ
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フリーライターの主人公。目覚めると閉鎖病棟で手足を拘束されている。やってきた恋人に聞くと、どうやら睡眠薬のオーバードーズで倒れたらしい。なぜこんなことに? 自分は何をしたのか? というお話。
精神病院にいるまともな主人公、というと「カッコーの巣の上で」を思い出しますが、こちらは途中から主人公もまともじゃなかったことが明らかになるという、ミステリー仕立てとなっております。
ただし重い話題を軽いノリで料理しているため、当初は明るい気持ちで作品に入り込むことができます。主治医として庵野秀明が出てきたのは驚きました。
前半はブラックユーモアとして笑っていられますが、だんだんもの悲しくなってきます。ただし最後はさわやか。
蒼井優が拒食症?患者の役で出ていますが、ただ痩せてるというだけでなく、何か恐ろしいものを背負っているようだがそれを表に出さない女、という難解なオーラをまとっていて、「出来る女優」というのは凄いなと感じ入りました。

ザ・ロイヤルテネンバウムズ
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ビル・マーレイつながりで。
かつての「天才一家」テネンバウム家は、父親の過ちで崩壊。20年後、父の策略で再びひとつ屋根の下に集った一家が、家族の絆を取り戻すというお話。
家族ドラマというのは、基本が「どこにでも、誰にでも起こりうる日常的なお話」がベースです。しかし本当に普通だったらドラマにならない。
家族というものは、帰る場所であると同時に、人々を不合理にしばりつけるもの。それは鳥かごのようなもので、扉が閉まりっぱなしでは飛べない。鳥として翼をひろげて大空を飛びたいけれど、荒れ模様や天敵で死にかけることもある。だから時にはカゴに帰りたいときもある。だから鳥かご。本作でも「ずっと閉じ込められている鷹」がいて、その解放が象徴的に描かれます。
で、家族というのは一番敵対する者こそが、実は最も相手を気にかけている。アンビバレンツというか。最もダメ人間な奴が、家族にとって最も大事な結節点となるわけです。
画面がすごく計算された不安定さ(カメラが揺れてるとかじゃなく、常にどこか何かしらしっくりこない)があって、かえってそれが気持ちいい感じがします。

知らなすぎた男
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レンタルビデオ店員の主人公が、ロンドンの弟を訪ねる。しかし構ってられない弟は、主人公を演劇体験ゲームに放り込む。しかし謀報部からの電話を間違って受けてしまい、周囲に殺し屋と勘違いされてしまう、というお話。
勘違いシチュエーションコメディの金字塔ということでタイトルだけ知っていて、観ていなかった。
主役のビル・マーレイのたたずまいが良くて、少々強引だったり不自然だったりしても、こいつならしょうがないという空気をまとってます。そこがすごい。
警察、諜報部、外務省、殺し屋、拷問魔などと次々に現れるが、本人は芝居だと思ってるから平気の平左。やっぱり男は「堂々としてる」ことが大事だな。ものすごい危機の連続なのに、自信満々で切り抜けていきます(本人は切り抜けてる自覚がない)。最初から最後まで笑わせていただきました。
しかもコメディだからって容赦せず死人が出るのもいいです。三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」を観て、面白いんだけどなんか物足りない、なんか違和感がある、と感じてたんですが、僕が観たかったのはこういうのです。

バンクジョブ
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面白かった!
1971年ロンドン。ある女性がドラッグ所持で税関で捕まる。彼女は罪を軽くする見返りに、銀行の貸し金庫にある王室スキャンダルの写真を盗み出すよう、英国秘密情報部より要求される。彼女は主人公たちを引き入れ、地下道を掘って金庫に押し入る、というお話。
ベースは実話だそうです(捜査情報は2054年まで封印)。銀行襲撃というとお金と思いがちだが、貸金庫はそうじゃない。裏帳簿や闇情報などなどが秘匿される場所でもあるわけだ。で、主人公は女にだまされ、金銀財宝を盗むつもりが、触れちゃいけない秘密を握ってしまう。しかし基本が素人集団だから、そこらじゅうでボロが出る。安心できず観客はハラハラしっぱなし。容赦なく人は殺され、絶体絶命がある。敵組織は複数。しかし主人公はからくも危機を切り抜ける。たまりません。
あとやっぱり、ジェイソン・ステイサムのヒゲがすごい。日本人でこんなヒゲ生やして二枚目ができる人、いるかね。一見の価値あるヒゲです。

小説家を見つけたら
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物語の冒頭は、最近あまり観なかった感じのかなり静かな展開。ただしそこはショーン・コネリーの「俳優力」みたいなものがあって、彼が演じる小説家と主人公の黒人少年がどう絡むのかという興味が、作品を観る持続力となって作用します。大物俳優の使い方としては非常に正しい。ということは、つまりショーン・コネリーがいなかったら、ちょっと心配になるお話ではあります。
全体的に「じわじわくる」話で、ものすごく感動するというものではありません。
ただ人間が最も感動する要素のひとつに、「秘された功績を周囲が認め、賞賛すること」があるのですが、それを強調するがあまり、主人公の敵であるクロフォード先生を、必要以上にコケにしている感もありました。
ラスト、急に端役でマット・デイモンが出てきて驚きます。なんだかんだ言ってハッピーエンドです。こういう映画はそこが重要なところです。

バンテージポイント
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スペインでサミットが開かれ、広場の演説で狙撃事件発生。アメリカ大統領が銃弾に倒れる。その23分間を8つの視点から描き、SPの主人公が犯人を追いつめてゆく、というお話。
暗殺現場を複数角度・視点から描写し、同じ映像を何度も何度も使う非常に省フィルム仕様となっております。ただ予告を観た時は、複数のカメラ映像を組み合わせて頭脳を駆使した謎解きをするのかと思ったのですが、単に複数視点で全員の立場を説明し、観客が2回観なくても1回で全部判るという親切設計なのでした。
なんとなく「24」や「ロスト」といったアメリカTVドラマの手法のような気がします。すごくややこしいことしてるようで、実際はそうでもないという。
しかも後半は謎解きもへったくれもなく、カーチェイスの迫力映像で押し切ります。
ラスト、バラバラだった登場人物がうまいこと一堂に会します。脚本家はもはやパズラーですね。
見終えてすっきりして、すぐに忘れる。そういう作品です。

バルトの楽園
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第一次大戦で中国山東省・青島を根拠地としていたドイツ軍。日本軍との戦闘に敗れ、捕虜4700は全国の収容所に送られる。その中のひとつ、四国は板東俘虜収容所での日独の交流を描くお話。
キャストは豪華だし、戦闘シーン(ものすごくショボイ)以外はきちんと作っていると思うのですが、いやに手作り感があります。とってつけたような展開や俳優への演出不足と思われるシーンも多く、つまりは下手なんです。小学校の体育館で観た文科省推薦マイナー作品の匂いがします。しかし昨今のテレビ映画のような「映画なめてる」感はありません。有名無名の人々が手弁当で集ったような、妙な「楽しさ」にあふれています。
捕虜の中には神戸の菓子店ユーハイム創業者である、カール・ユーハイムと思しき人物もいます。ドイツ人捕虜は他にも日本永住を選んでいて、銀座「ローマイヤー」や、日本ハムの前身である徳島ハムなども彼らの手によるものだそうです。
しかし反戦映画としては一級品です。大事なのは戦争の悲惨さや自己犠牲を伝えることではなく、人間同士が信じ合うこと。そして文化・芸術には言語を超えた力があること。
日本人に必要なのは海外を学ぶこと以上に、自国を知ることでしょう。ラストのカラヤンは正直言ってダサいですが。

パコと魔法の絵本
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舞台は病院。お金持ちの偏屈ジジイ・大貫は、ある日パコという少女を殴る。パコは記憶が1日しかもたない少女。そんなパコが、翌日なぜか大貫を覚えていた。ただし殴ったのではなく、頬に触ってくれた人として。大貫は後悔し、少女にできることを考える。それはパコが毎日読む絵本の劇を作ること、というお話。
役者が妙に声を張るし、舞台劇に映像演出をありったけ足したような作品だなあ、と思っていたら、やはり元は舞台でした。良くいえば豪華、悪く言えばごちゃごちゃ。そこが好みの別れ所でしょう。
極端にポップな表現でカモフラージュされていますが、この病院は様々な「弱者」が集う場所。その弱さとは、自らの弱さを認められない弱さ。強くあらねばと思いこむ大人たちの姿です。そんな彼らが各々のトラウマを乗り越え、再生していくのが物語の根幹。しかし筋は明解で、子供向けと言えなくもありません。
ラストは、これで良かったのだと思えるいい終わり方でした。面白かったです。

おまえうまそうだな
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草食恐竜に拾われて育ったティラノサウルスのハート。ハートは成長して自らの矛盾を悟り、群れを出ます。そんなハートがアンキロサウルス(草食恐竜)の赤ちゃんと出会う。ハートが「おまえ、うまそうだな」。すると赤ちゃんは「ありがとう。『ウマソウ』ってとってもいい名前!」
以来ハートはウマソウを食べずに慈しみますが、自分の背負った哀しみを繰り返さないために、ある日「もし俺にかけっこで勝ったら、ずっと一緒にいてやる」。ハートと離れたくないと、一心不乱に走るウマソウ。その背中を見つめ、ハートは反対方向に駆けてゆく。このシーン、子供に付き添った父親客の100%が泣いたはず。
これが中盤です。クライマックスでも良かったかも。
本作のいい所は肉食恐竜がちゃんと、生きて抵抗するエサを食いちぎること。子供向けでありながらごまかしがないのは素晴らしい。
ただバトルシーンがカプコン格闘モノのエリアルコンボみたいになってるのは笑いました。時代でしょうか。

川の底からこんにちは
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仕事も人生も妥協して生きるOLが、ダメ男の恋人・連れ子とともに帰郷。病に倒れた父の営むシジミ工場を立て直す、というお話。
物語として大団円を作るには、まず障害や衝突がないといけませんが、普通はそれをやむを得ない運命や避けがたい誤解などで組み立てます。ところが本作では、その原因が「主人公の妥協」に起因するため、非常にイライラさせられる。ただし物語が中間点を越え、主人公の人格が変貌し始めると俄然面白くなります。ほんと面白い。終わりよければ全て良しです。
ただ個人的には、主人公は脱力した無気力系で、周囲は理不尽に冷たかったりして、会話は基本ぼそぼそで、なんつうか?オフビート?っていうんですか?みたいな作品はちょっと、うんざりかなあと。
かつて漫才界にダウンタウンが登場して、若手のボケがみんな斜に構えたシュールな体に染まったように、映画もそういう流れがあるんでしょう。本作は前半がそういう古い感じです。過渡期なのかもしれません。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。
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西原理恵子の夫で、アルコール依存症だった場カメラマン鴨志田穣の原作を映画化。浅野忠信の自然体演技が痛々しさを感じさせず、なんとなく画面をいい感じに「ぬるま湯」にしていて観やすい。奈良漬け食べちゃって、そこからビール、日本酒と飲んじゃう流れがすごくいい。いい食べ方するんですよ。何度も繰り返し観ちゃいました。あと精神病院入れられて、胃腸やられてカレーが食えないというシーンは笑える。
本人がアル中ということもあって、たまに非現実的なシーンが入るんですが、やり方が上手なので言葉で説明しなくてもきちんと場面の説明になっている。台詞よりも映像で表現するというのは映画の基本だと思いますが、それをさらっとやってます。
でも言わなきゃわかんない人もいそうな所(たとえば奈良漬けはお酒入ってること等)は、小さくつぶやいて説明したりして、ほんと親切。
日本映画って、金のかかってない作品は面白いんだよなあ。なんでだろ?
あと「毎日かあさん」の読者としては、この息子が将来からあげ食いまくるのか、とか妙な「西原家サーガ」的な広がりを感じ、ファン心理としては嬉しいかぎりです。

トロピック・サンダー 史上最低の作戦

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ベトナム戦争の回顧録を映画化しようとしたが、うまくいかない監​督が一計を案じる。
それはジャングルに俳優を送り込んでドキュメ​ントタッチで撮影すること。しかしそこは本物の戦場だった。そう​と知らない俳優たちは作り物と思い込んで演技続行、というお話。
冒頭のパロディ予告編から本気の作り込み。そして最初のエピソー​ド、あまりのことに度肝を抜かれました。そこのグロ展開がこの映​画の関所で、そこが笑えるなら全部笑えます。私自身はジャングル​突入あたりから一気に物語に入り込めました。ベン・スティラーは​あまりアクションスター役に見えませんが、立ってるだけで笑える​人なので許せます(というより彼が脚本主演監督だからしょうがな​い)。
こういう「莫大な金をかけて本気でふざける」のが、ハリウッドの​凄さですね。全てのシーンに気合いが入っていて、コメディをなめ​るな、という熱いものを感じました。
あとショーン・ペンへの悪口?が「確かになあ……」と思ってしま​った(笑)

P.S.アイラブユー
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死んでしまった夫から、毎日一通ずつ届く手紙。そこに書かれた指示に従って、徐々に前進していく女性のお話。
夫役のジェラルド・バトラーがいきなり死ぬので驚きますが、お役御免というわけではありません。これはもう、設定の勝利。こんな設定を出されたら誰でも泣くでしょ。
ただひたすら泣かすというわけでもなく、たまに「えっ」と思うような下品さや皮肉があって、過度に孤独であったり悲劇であったりせず、S&TC的な欧米女性をうまく中心に据えていると思います。泣けるんだけど、ニヤニヤが止まらない映画。
これはカップルで見ると、男性の器を見る試験紙になるかも。狭量な男性は、おそらくこの物語を受け入れません。なぜならこれは主人公が次の人生へ向かうためのステップであって、単純に一途な女性像を描くものではないから(俺は狭量だからよく分かるのだ)。
死ぬ者にとって相手は全てだけど、生き残る者にとっては一部でしかないし、そうではなくてはいけない。もし俺が死んだら、俺のために生きたり、俺のために死んだりするんじゃないよ……なんてクサいことを言いたくなる映画でした。
あとキャシー・ベイツは笑うと美人だという発見がありました。

シャッターアイランド
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精神疾患のある犯罪者の刑務所「シャッターアイランド」。そこで​行方不明になった患者を探す保安官のお話。
最後はもの悲しいです​。 一言で言うと〈ドグラ・マグラ〉。精神病院モノというのは大別す​ると、
1,いろいろあったけど、ふりだしに戻る
2,ぜーんぶウソでした
3,いきなり正気になった、なんかスミマセン
ぐらいに分類できると思います。
本作はやたらと前宣伝で「謎解き​」が強調されたようですが(DVDの予告編で連呼してた)、たぶ​んそういう作品じゃないでしょう。1回目観て「え?」と思い、2​回目観て「うぉーっ」となればそれでいいんじゃないかと。
ディカプリオ扮する主人公がスタッフを集めて尋問するシーンや、​患者からメモを渡されるシーン、看守たちが崖を捜索するシーンあ​たりでいろんな発見ができて面白かったです。
気になったのは洞窟​に隠れていた某女性で、彼女の事情をよくよく想像してみたりする​と、おっそろしいなと思わされました。面白かったです。

奇跡のシンフォニー
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孤児院で育った少年が、まだ見ぬ両親の奏でる「音楽」に導かれてNYへ。
そして多くの人々に助けられ、才能を見いだされ、両親と奇跡の再会を果たす、というお話。主人公は演奏も作曲も独特な音楽の天才なのですが、とにかく終始ポケーッとして、人の話を聞きません。けれど天才だから許されます。いいなあ、天才は。
出会う人がみんないい人で、主人公のためにかけずり回ります。
ボケーッとしてるのは天才だからかと思ってたら、産みの親も結構ボケーッとしてます。単に生理食塩水の濃さからくるものだったんだな。
で、この映画がすごいのは、「天才少年による音楽」をちゃんと演奏すること。これ、実はすごく難しいことですよね。
たとえば天才画家を描く映画があるとして、監督がどんな絵を用意しても「これが?」と思う観客はいるわけです。けれど本作はそれをババーンとはっきり表現していて、しかも割と納得のいくものでした。ちなみにテーマ音楽担当はハンス・ジマー。

センター・オブ・ジ・アース
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僕が好きな小説に、ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』や、その続編であるヴェルヌ『氷のスフィンクス』、ラヴクラフト『狂気の山脈にて』、はたまたドイル『ロストワールド』といった大冒険ものがありますが、中でも何回読んだか判らないのがヴェルヌの『地底旅行』です。
で、この映画はその「地底旅行」の現代版子供向けリメイクといった所。
元の「地底旅行」には、人物のひとりが地底で迷子になるシーンがあって、そこが本当に怖くて、今読んでも恐ろしいんです。しかしこちらで同じことがあっても、常にうまく進むので危機感がありません。都合良く行くんだろうな、と思ったら全くその通りで期待を裏切らない。
元は3D上映だったようで、そう知っていれば納得のシーンが多いです(大きい物体が不自然なまでに、やたら画面正面に向かってくる)。
良くも悪くも子供向けの「空想科学大冒険」。細かい部分はおいて、童心に返って楽しむ作品だと思います。

小さな村の小さなダンサー

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神戸に戻ったので、また映画観てます。中国山東省から北京舞踏学​院に選抜され、そして米国へバレエ留学。そこでアメリカ人女性と​結婚し、亡命を選択した李存信の実話を映画化。
先祖代々貧農で兄弟も皆、農民になるしか選択の余地がない。そん​な境遇から脱出するには、抜きんでた才能を「発見」されること。​そして見いだされた少年少女は仲間たちと切磋琢磨し、恋をします​。けれど「才能の差」は歴然とあって、どれだけ想い合っても、レ​ベルが違えば離れていくしかない厳しい世界。それはアメリカに留​学しても変わりません。
終盤、ついに亡命した主人公を認めた中国政府は、両親をアメリカ​へ向かわせます。そしてサプライズとして主人公の舞台を両親が観​賞するんですが、なぜこんな変な演目を?とは思いました。現代舞​踏に慣れていれば普通なんでしょうが、門外漢の私には、感動が若​干さめる効果がありました(笑)。
けれどいい作品なのは間違いないです。主人公を演じる方の踊りも​素晴らしい。

紀元前1万年
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今日は鈴鹿ですので映画を観れません。そこで以前、あえて書かな​かった作品を。
『紀元前1万年』です。これはすごくつまらない。本当につまらな​いです。『アポカリプト』と似てるのにものすごい格差。割とパパ​ッと展開してるのに話がすごく退屈。それでも話をまとめられない​からナレーション頼り。
そもそも主人公の住んでた地域は雪が残る高山地帯で、八甲田山み​たいな雪山越えをするんですが、すると次は広大な砂漠。一体ここ​、地球のどこだったんですか?
で、大河を渡ると敵部族の大都市がある。これが笑っちゃうくらい​メガシティ。
お話の冒頭で、そこの敵部族が馬に乗って主人公の村​を襲います。あの大河、砂漠、雪山を越えてきたわけですよね。た​かが数人の男女を奴隷にするためにどれだけ苦難を乗り越えてきて​るんすか。
そこら辺から何度も寝落ちしたので、頭カラッポで撮影したとしか​思えない落とし穴シーンなどあって笑いましたが、何か言えるほど​記憶がありません。

ベスト・キッド
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リメイク版。「ウィル・スミスの息子が北京に行って、ジャッキー​・チェンにカンフーを習う」って、それのどこが「The Karate Kid」なんじゃい!と言いたくなる本作ですが、かなりいいです​。
話の筋はそのままに、うまく換骨奪胎してます。何より主役のジ​ェイデン・スミスの身体能力が素晴らしい。
僕が小学生の頃、毎週どこかのチャンネルでジャッキー映画を再放​送していた気がします。つまりそれだけ観ていたわけです。そんな​ジャッキーがハリウッド進出してからは変なコメディばかりやらさ​れていて、忸怩たる思いがありました。
しかし本作では、ジャッキ​ーがハリウッドで渋くシリアスな役をやっている……そして、子供​時代の憧れだったジャッキーが、年をとって師匠となり、後継者に​その精神を伝えようとしている……そのダブルパンチで思わず目頭​が熱くなりました。
しかし主役は完全に少年です。ジャッキーに食われず、苦難に打ち​勝つ少年を見事に演じています。お見事です。

狼たちの処刑台
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マイケル・ケイン主演のハードボイルドな復讐もの。前半は復讐に入るまでの「理不尽な仕打ちに耐える高倉健状態」なわけですが、そこの抑えに抑えたトーンがかっこいい。荒涼とした、寂寞たる映像が主人公の孤独感を表現しています。
そして後半、愛する妻を失い、親友を失い、遂に男は復讐の鬼と化す!
そんな男の姿にテンションが上がらない野郎なんているのでしょうか。たとえ女に鼻で笑われようと、男はこういうのがたまらない。
こうなってくると後半の復讐がどれだけ「燃えるか」が重要になります。
しかも主人公は元海兵隊員とはいえ足下もおぼつかない老人。さらに肺気腫も患い、セガールやブロンソンのような超人的活躍ができるわけじゃない。その弱々しい生身感がこの物語をさらに渋くしています。
また復讐もので大事なことは、「それを追う、または見守る女性がいる」こと。もちろん本作はぬかりありません。
ラストもすっきり。これはいいですよ。

アウトレイジ
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北野武のヤクザ映画。ぼったくりバーのトラブルから、ヤクザが怒鳴り合って殴り合って殺し合う。
表向きはガチだけど実はプロレスだったり、かと思えばプロレスと見せかけてガチのやり合いだったり。
どの登場人物も必ず「コラァ」っていうので、何回言うのかなーって数えてみようと思ったんですが、あまりにもコラコラ言うのでやめました。
ヤクザに就職すると大変だなーと思うんですが、それ以上に飲み屋さんで働く女性は、すぐ横でコラコラ問答されまくりなわけで、もっと大変ですね。
全体的に画面の安定感がすばらしく、見ていてすごく気持ちいいです。音(音楽じゃなくて場面の生活音)がいいのかな。専門的なことは判りません。
またこれは、ヤクザとちょっとでも係わると、いずれとんでもないことになりますよという教育映画ですね。
文科省推薦でどうですか。
あと、ラーメン屋の奥で、遠景でニヤ〜ッと笑う椎名桔平がすごくいいです。その後のお箸の使い方はよしていただきたいですが。
タグ:movie
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2011年08月02日

7月に観た映画まとめ

先月から毎日1本ずつ、ちまちまfacebookの方で書いてます。
で、その最初の7月分は以下。

ペルシャ猫を誰も知らない

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イランの若者たちを描く青春群像劇。ちゃんと物語はありますが、​ほとんどドキュメンタリーのような映画。片田舎で純真な少年が、​みたいな「よくある中東映画」とは違います。
西洋音楽が厳しく規制されているイランでは、ロックは純粋に「俺​たちには叫びたいことがあるんだ!」というメッセージを表現する​手段。けれど許認可や検閲の壁があって、本当に言いたいことが表​現できない。
西洋化には当然キリスト教の浸透がついてくる以上、イラン政府の​やり方を一概には責められません。しかし自由を求め、やりたいこ​とに向かって疾走する若者たちの日常、そして現実は、それを映し​出すだけで充分すぎるほどドラマチックだし、その姿はまさに「ロ​ック」。
やってることは違っても、幕末日本や革命前のトルコ、壁が崩壊す​る直前の東ドイツ、そういう「何かが胎動している、もうすぐこの​日常が全て変わる」世界とはこういう感じかもと思いました。
ただラストシーンはびっくりします。あまりの展開に。

リミット
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イラクに派遣されたアメリカ人トラック運転手が突然襲われ、気づ​いたら土中の棺に監禁。さあどうする?というお話。登場人物は1​名。あとはライターと携帯電話だけ。95分間、主人公はひたすら​電話をかけまくります。
政府はチンタラしてるし、会社は法律を盾にしてくるし、友人は買​い物に行っちゃうし、奥さんは留守番電話でどいつもこいつもイラ​イラさせてくれます。ただし主人公の行動は理解できます。ありが​ちな「突っ込みどころ満載のお馬鹿な行動」はありません。そこは​いいところ。しかしラストがひどい。さすがヨーロッパ映画。
よくもまあ、棺の中だけ、登場人物1名だけで90分超も飽きさせ​ず、時間をもたせたなというところは偉いと思いますし、最後に観​客を悩ませる謎を投げつけてきて、「もしかして、面白かったのか​も」と後を引くように仕向けてくるあたり、実にテクニカルだとは​思いますが、純粋なエンタテイメントじゃないです。社会諷刺とい​うべきか。

ピンク・フラミンゴ
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いわゆる「世界一下品な悪趣味映画」。ノーカット版で観ました(全然​嬉しくない)。
世界一下劣な家族と、その名声を妬む下劣夫婦による下劣な戦い。​これが本当に最低で最悪で、汚く、気持ち悪く、意味が判らないバ​トルに仕上がっています。
同じ悪趣味映画でも「ソドムの市」だと、下品さがある程度物語上​の意味がありますが、こちらは本当に訳が分からない。真剣に「何​やっとんじゃ?」と思うシーンがいくつもありました。
ただ全編に渡ってシーンがものすごい長回しで撮られているため、​こんな下らないことを大真面目にやっているという事実はひしひし​と感じさせられます。役者陣はさぞセリフ覚えに苦労したことでし​ょう。○○ダンスの場面では、本気で「いつまでやっとんねん!!​」と叫んでしまいました。
京都みなみ会館のオールナイト上映あたりで、みんなでワイワイ観​るにはいい作品かも。まあ、大半の方には無駄な時間になると思い​ますが、人によっては人生観・価値観が変わるかもしれません。

海角七号
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台湾で記録的大ヒットとなった『海角7号』。台湾最南端の町を舞​台に、日本統治時代の悲恋と、現在の台湾人青年、日本人女性の出​会いを描くお話。
前半の展開は退屈でしんどいですが、台湾の下町や、台湾人の地元​気質みたいなものが見えるのは楽しいです。
で、後半に入ると、前半でぐだぐだやってた伏線をまとめ始めて盛​り上がってきます。ただ随所に変なところがあって冷める。冷める​んだけれども、まあそんなに嫌いじゃありません。
しかし物語が4分の3ほど過ぎたあたりで、60年以上前に日本人​教師の男性が、恋人の台湾人女性にあてたラブレターの一節が読ま​れます。
そこの「君を捨てたんじゃない、泣く泣く手放したんだ」で、冷静​に作品を観るリミッターが外れました。
物語的にではなく、台湾の人がこの物語にこのセリフをなぜ入れて​きたかという意図、映画の背景にあるいろんな歴史や心情に心を揺​り動かされました。もうそれだけ。そういう作品です。

バトル・オブ・シリコンバレー
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映画じゃなくてTVドラマ。邦題は「バトルオブシリコンバレー」​。アップルとマイクロソフトの創業物語。東海岸の秀才ゲイツと、​西海岸のヒッピー・ジョブズの対比が面白い。
2人に共通するのは、起業時はどちらも貧乏なガレージカンパニー​でも、有能な友人がいたこと。IBMを徹底的に敵視するジョブズ​と、IBMをだましてのし上がるゲイツ。やり方が違っても、根本​は同じ。そしてどちらも他人の物を平気で盗む。その様をあっけら​かんと描くのがすごい。
ただこの物語を観て、ジョブズに人間的魅力を感じるのは難しい(​最終製品があってはじめて見方が変わる)。逆にゲイツはすごく魅​力的で好感が持てる。
後のジョブズの演説で「自分で作った会社から追い出されるなんて​、信じられなかった」という一節がありましたが、そりゃ追い出さ​れるわ。他人の踏みにじり方、恨みの買い方が半端じゃない(いろ​んな媒体での証言からして、たぶんどれも実話)。ジョブズは遠く​にありて想ふもの、ですね。

キング・オブ・コメディ
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昔「タクシードライバー」を​観て、いつかこれも観ようと思ったままになってました。
34才コメディアン志望の男が、スターに憧れて執拗につきまとう​。ついにはスターを誘拐して「キング」になろうとするお話。彼が​何度も妄想するのは「芸がウケる」自分よりも、「売れっ子になっ​て世間にちやほやされる」自分。
自宅で母親にうるさいと言われながら、テープに漫談を吹き込む。​それもただネタを吹き込めばいいものを、本物のテレビショー風に​BGMやMCを入れたりする。「このおっさん、完全にイカれとる​な」とは思うが、普通はその「痛い妄想」で終わるところを、この​主人公は「痛い行動」で具体化してしまった。だからその狂気に悲​哀を感じてしまう。主人公がスターに憧れる気持ちが理解できるだ​けに、観ていてつらくなってくる。
そのためラストの「どん底で終わるより、一夜の王でいたい」は泣​いてしまいました(よく泣く私)。やはり観てよかったです。

フローズン・リバー
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主人公はアメリカ・カナダ​国境の1ドルショップで働く二児の母親。夫は金を持ち逃げして失​踪。車を盗まれたことをきっかけに、原住民の居留地と凍りついた​川を使ってアメリカへ不法入国させる手伝いを始めるというお話。
深い雪に包まれた田舎町。しかしそれは銀白の雪原ではなく、雪解​けた泥水のぐちゃぐちゃした、グレーな世界。疲れ切った女のくた​びれたタトゥー。錆びた手製のメリーゴーランド。
出てくる人たちは心底の悪人じゃないにしても、ただ愚かしく、「​たぶんいつまでたっても、この状況から誰も抜け出せないんだろう​な」と思わせる。スタートもゴールもない。地平線の向こうまで何​もかもが曇り空。そこそこ楽しいこともあるけれど、振り子のよう​に必ず不幸がやってくる。そんなもんだよ人生は、と達観するには​あまりに澱みきった世界。そんな物語でした。好みが別れると思い​ますが、面白かったです。

アンストッパブル
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冒頭「実話にインスパイアされて作りまし​た」と字幕が出る。無人列車が暴走しちゃうお話。
人物はデンゼル・ワシントン以外の現場職員が全員バカ。しかもバ​カの自覚がなくて、真剣な顔で偉そうにバカをやるからどうしよう​もないバカだらけ。あっちもバカ、こっちもバカ。本社から車から​線路から上空から、そこらじゅうからバカが大量参戦。バカのミス​で事件開始、バカがそれを加速させ、バカが対処するから解決しな​い。別の場所でもバカがバカやって事態が悪化。
最初の接続作戦、なぜヘリから降ろす? 先頭機関車に乗せときゃ​済んでる話だろうが。ラストの「飛び乗り」も同じ。別の職員にや​らせんかい。この鉄道会社、職員が5人ぐらいしかいないのか?
実話を持ち出してこのバカさ加減ですから、実物も相当なものだっ​たんでしょう。
ただ「止まらない列車」は映画と相性がいい。「人間はバカである​」という悟りさえ開けば楽しめる作品です。

優しい嘘と贈り物
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涙もろさでは定評のある私です​が、この物語の「仕掛け」に気づいたのが始まって45分頃(気づ​くのが遅い)。判ってからは、ラストまでずっと涙腺が壊れっぱな​しでした。これはいわば、純愛ミステリーとでも言いましょうか。​未見の方は、あらすじなど読まずに観てください。
お話のタイプとしては『きみに読む物語』などと似てます。
原題は「Lovely,still」。これがすごくいいだけに、​邦題は惜しい。
恋愛なんて若い時分は燃え上がって当たり前。年老いて枯れきって​なお世界でただひとりを求める、それが真の純愛でしょう。人は常​に他人に求められること、認められることを欲していて、そして純​愛は「君がそこに、ただ存在しているだけで自分は幸せなんだ」と​いうこと。つまり認められること、求められることの究極の姿。だ​から人はそれに憧れる。いいお話でした。

レッドクリフ Part I & II
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これまでNHK人形劇や多くの漫画で日本ナイズ​された三国志に触れすぎてきたせいか、画面がほとんどおっさんで​疲れました。その上、話がチンタラしていて退屈。パート2は面白​いんでしょうか。1回目、寝落ち。2回目、面白くなくて途中で停​める。3回目でやっと最後まで観ました。
途中、孫権が「逆らう奴はこうだ!」と机の端っこをちょびっと切​るシーンで笑いました。もっと豪快に切りましょうよ。
また曹操の側近たちが周瑜を「音曲にかまけていたような奴が、軍​を率いるのか」と侮るシーンがあるんですけど、芸術に卓越してい​た曹操の横でそんなこと言うのかな?
あとラストの九官八卦の陣。個々の戦闘アイデアが、ブラッド・ピ​ット主演の『トロイ』からずいぶん影響を受けてるなーと思いまし​た(女性ひとりをめぐる戦争になっちゃってる所も)。全体的には​ダルい作品でした。

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Part Iと変わらず、どうも緊張感が足りない。
蒋幹がらみのエピソードは、もはやギャグ。なんで周瑜からこっそ​り盗んだ手紙を、その場で音読するんだよ。ホームラン級のバカだ​。その後、曹操が蔡瑁と張允を殺せと命じるも、すぐにだまされた​と気づく、でも振り向いたら処刑済でしたなんてシーンは、笑うな​という方が無理。そもそも周瑜って「君子の戦いだから、汚い真似​はできない!」って言ってなかった?
次に笑ったのが、みんなが周瑜にお団子を分けるシーン。古今東西​、「食べ物を分かち合う」のは結束を高める意味があるわけだ。で​、周瑜は山盛りにさせられたお団子を無理やり一気飲み。すごい(​笑)
作品はやはり全体的に間延びしていて、観ているこちらは眠りそう​になるか、画面にツッコミを入れるかのどちらか。クライマックス​の水上戦闘になった頃には、もうどうでもいい気分でした。

インビクタス/負けざる者たち
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南ア大統領、ネルソン・マンデラが27年間の獄中生活で、どれだ​けの「大戦略」を練ってきたか、それを個々の戦術にどう反映させ​たかが判る作品。個人的は、これまで様々な「戦略家」を間近に見てきたせいか、マンデラの一​貫した「人たらし」たる言動とその意味が「ああ、わかるわかる」​の連続でした。
作品としては見事な対比構造。オープニング、一方は綺麗な芝生で​白人の子供たちがラグビー、道路を挟んだ一方は荒れ地で黒人の子​供たちがサッカーをしていて、そのど真ん中をマンデラが駆け抜け​てゆく。作品のモチーフ、そして後に語られるテーマの前提を完璧​に表現してました。上空からの視点が多用されているのも印象的で​、これまた作品のテーマに通じる。イーストウッドはマジで神がか​ってますね。

ランボー/最後の戦場
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なんだか全編、猪木の「バカヤローッ」が聞こえてく​るような作品でした。
途中、ランボーが森の中を激走するシーンがあって、ただ走ってる​だけなのに「すげえ……」と思ってしまうのは、やはり僕がスタロ​ーン好きだからでしょうか。『ロッキー・ザ・ファイナル』はすご​く丁寧に作ってる感じがしましたが、こちらはあえて乱暴(洒落じ​ゃない)に作ってるような。お話は単純で、ぶちかましてあっさり​終わります。ほんと「バカヤローッ」っていう感じ。
ファンじゃない人には、つまらない作品かもしれないです。そんな​人は、最初から観ないか。

しあわせの雨傘
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雨傘会社の社長夫人(カ​トリーヌ・ドヌーブ)が、倒れた夫にかわって会社運営。それまで​ジョギングとポエム作りしかさせてもらえず、家族から「飾り壺」​扱いだった夫人。そんな彼女が自分の本当の居場所、本当の人生を​勝ち取るために紆余曲折。飾り壺の人生、でもそれはいろんなもの​を受け入れる「大きな器」だった、というお話。
一番面白くなるはずの「会社再建」エピソードがほとんどないのが​残念ですが、全体としては、主人公の「実は奔放な性格」ぶりが楽​しい。世の男たちは「若い女性を求めてる」なんて言いますが、そ​うじゃなくて「元気な女性」を求めてるんじゃないのかなあ、なん​てことも思いました。
ラストは主人公による「人生は美しい」の大熱唱。ディナーショー​みたいで笑ってしまった。

人生万歳!
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圧倒的なセ​リフ量の作品。それがいちいち面白い。
天才だけどバカな男と、バカだけど天才の女。登場人物の誰もが他​人の話を聞かない奴ばかりの中、特に聞いてない2人が出会う。
後半の怒涛の展開もいい。なぜなら人は、ハッピーエンドのためな​ら相当な強引さも受け入れるから。ただそのためには、登場人物に​十分感情移入できていないといけない。その点、私は問題ありませ​んでした。結論としては「人生、どうでもいいよ」と「人生、どう​なっても素晴らしいものだよ」の邂逅とでもいいましょうか。
ちなみに最近観た『リトルミスサンシャイン』『ローラーガールズ​ダイアリー』、そしてこの『人生万歳』に共通する点が。どうやら​「アメリカの田舎の母親は、娘を地方の美少女コンテストに出場さ​せたがる」ようです。

リトル・ミス・サンシャイン
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ヘロイン中​毒のエロ祖父、うまくいかない自己啓発オタクの父、一言も話さず筆談ですませる反抗期兄、ゲイで自殺​未遂を起こした学者叔父、ヘビースモーカーの母、そして主人公の​少女。そんな家族が、主人公の美少女コンテストへ同行する道中で​衝突し、和解し、結束し、そして成長してゆくロードムービー。
これまた開始10分で全員の性格が判る作りになっていて、そうい​う作品にハズレなし! 特に兄がいいキャラしてます。
ラストの展開がどうしようもない(笑)もので、呆れて笑っていつ​のまにか泣かされる。強くなくても、勝ち組じゃなくても、家族み​んなで受け入れて前進するんだという泣き笑いのメッセージ。いい​物語でした。

戦場のアリア
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G線上……じゃない、戦場のアリア。第一次大​戦での実話「クリスマス休戦」を描いた物語。映画のお話自体はあ​んまり……だが、「Great War」の基礎知識があれば泣ける。
それまで、遠い百年近く前のナポレオン戦争の英雄譚しか知らない​若者たちにとって、戦争は運の悪い奴が死ぬ、せいぜい3〜4ヶ月​の話。ところが大戦が始まってみれば、戦場とは数百メートル続く​塹壕の泥に埋まりつつにらみ合い、ただ死ぬためだけに毎日マシン​ガンに向かって突撃する、何年たっても終わらない地獄のような場​所でした。フランスのソンムに行けば、地平線の彼方へと続く墓標​の列を見ることができます。そういう背景を知ってる上で、クリス​マスの一瞬だけ両軍の兵士たちが「ただの若者」に戻って歌を歌い​、酒を飲み、サッカーに興じた、そういう奇跡が実際にあったと判​っていれば、これは実に感動的な物語となるわけです。

ローラーガールズ・ダイアリー

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DVDで『ローラーガールズ・ダイアリー』を観ました。今さらで​しょうが、面白かった。ひとりも悪人はいないのに、ちゃんと人物​の衝突があって主人公の「自立」が描かれていく。
うまいなあと思ったのは、主人公の母親が夫と二人っきりだと、キ​ッチンで片膝ついて煙草を吸うというところ。で、主人公がやって​くると急いで居住まいを正す。たったあれだけのシーンで、後半の​複雑な親心にすごく厚みが増してるように思いました。ドリュー・​バリモア(監督・製作・出演)は偉い!

エクスペンダブルズ
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私の周囲では​不評な作品でしたが、スタローンは脚本家として一流だと思う。だ​ってメチャクチャな展開なのに、そのうえ無理くりオールスターキ​ャストにしなきゃいけないという制限の中、ちゃんと物語が前進し​ていくんだもの。つまり爆発させすぎなどで爆笑することはあって​も、主人公の行動に「おいおい、なぜそうなるんだ?」と疑問を抱​くことはない。
ちなみに観賞中ずっと、私は「むほほほほ」「おっおっおっ」「よ​っしゃーっ」と奇声を挙げていました。面白かったけどなー。だめ​ですかね?

デイブレイカー
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近未来の地球は吸血鬼社​会になってるというSF。血を吸いすぎて人間が絶滅寸前になった​ので、代替血液を開発してる研究員が主人公。こいつが最初から最​後まで眉間にシワ寄せてウロチョロしてるだけで、見事に無能。ぜ​んぶ周囲の人を犠牲をして切り抜けていく。
ラストの解決法も、よく考えたらみんなを治せるはずなのに自分た​ちだけ助かって、でもそんな自覚もなく渋いどや顔でエンディング​。バカは世界を救わないという教訓か。
でも前半の雰囲気作りは良かったので、雑なB級映画が好きな人に​おすすめです。

ソーシャル・ネットワーク
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DVDで「ソーシャル・ネットワーク」を観た。冒頭10分で主人​公の性格や考え方、行動様式が理解できる映画で、面白くない作品​はないと思う。今さらだけど、間違いなく傑作だった。
青春を彩るもの、それは失恋、嫉妬、裏切り、別れ。きっと誰もが​、二度と戻りたくはないのに、どうしようもなく輝いて思い出され​るもの。
ちなみに「14匹のマスを釣るより、1匹のメカジキを釣れってア​ドバイスするだろ?」への、エドゥアルドの「俺がマスならな」が​良かった。こういう切り返し、好きです。

レポゼッション・メン
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近未来、人工臓器のロ​ーン返済が不可能になると、容赦なく臓器を回収される。つまり合​法的(?)な殺し屋の話。「んなアホな……」と思うことが多くて​、あんまり面白くなかった。この物語の設定だと、しょっちゅう臓​器を抜かれた死体が街に転がってるわけで、それは最早「社会悪(​社会の矛盾から発生して、災いを及ぼす害悪)」でしょう。
ただ、これは「悲恋モノ」でもある。もちろんヒロインたるベスの​ことではない。主人公レミーと、親友フランクのだ。つまりBLと​して観るとあら不思議、割とちゃんと楽しめる。BL好きは観てく​ださい。

ゾンビランド
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昨日観たアレに比べると圧倒的​な面白さ。それはキャラクターの行動に無理がないから。バラバラ​の指向を持つ人物たちが、底流に「家族の喪失」を抱えて、いつの​まにか一体化していく。こういうの好きです。殺されてるのに笑え​るビル・マーレイは凄いなと思った。あと美人姉妹のやりくちは本​当にひどいが、これは仕方がない。男は美女に「だまされる」ので​はない。「だまされたい」のだ!

借りぐらしのアリエッティ
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これの製作中​、米林監督は鈴木プロデューサーによってマンションに監禁され、​その居場所は絶対秘密だったという。なぜなら宮崎駿が毎日のよう​に「米林はどこだあぁー!!」と探しまわるからである。もし見つ​かれば徹底的にダメだしをされ、修正され、「宮崎駿作品」となっ​てしまう。『ハウルの動く城』ではプロジェクトが崩壊し、細田守​が監督を降板することになった。それを繰り返さないための措置で​あった。
しかし作品はというと……。スクリプトドクターという職業を、真​剣に検討すべきだと思いました。
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2011年06月04日

映画『少女たちの羅針盤』感想

※これはあまりにも我慢がならなかったので書いています。我に還って消す可能性も大きいです。
 
先月、映画「少女たちの羅針盤」を観てきました。ネタバレ有りの感想を言います。
まず、あらすじ。
新進女優の舞利亜は、映画の撮影ため廃墟となったホテルに赴くが、撮影開始直前になっても脚本が届かず、ホテルの壁に不気味な落書きをされる。誰かが自分を

陥れようとしていると感じた舞利亜は、4年前の高校時代、友人たちと結成した女子高生劇団「羅針盤」で起きた殺人事件を回想する。現在と過去が交錯しなが
ら事件の真犯人が暴かれていく青春ミステリー。成海璃子、忽那汐里ら人気若手女優が共演。監督は「西の森の魔女が死んだ」の長崎俊一。


公式サイト。
http://www.rashinban-movie.com/index.html
 
 
上映中、非常にハラハラしました。おそらく20回くらい時計を見てしまった気がします。というのも、いつまでたっても「謎」がはっきりしないのです。

この物語の「セントラルクエスチョン」は、4年前に仲間を殺したのは誰なのかという点です。作品冒頭、廃墟を使って映画撮影が行われています。そこでまず
「4年前、劇団『羅針盤』の一員が殺された」という謎が提示されます。ところがそこから、全部で2時間の尺しかないのに1時間30分ぐらいを青春劇に費やし、「誰が殺されたのか」を教えてくれません。

で、最後の30分で急にたたみかけるようにドタドタドターッと「殺されたのはこの人」「殺したのはこの人」とやります。
それまでの間、なぜ殺されなきゃいけないのか、という伏線もありませんでした。
 
しかし、謎とは関係ない「劇中劇シーン」がたっぷりあります。つまり伝説の劇団「羅針盤」がいかに伝説となったか、という回想パートです。僕自身はそこが長すぎると思ったんですが、そういうのが好きな人もいるでしょう。この辺りは人それぞれだと思います。
ただ、その劇中劇を観た観客1000人あまりが感動のあまり、全員でスタンディングオベーションをします。
でも、そんなに大したものじゃありません。何度か高校生の演劇を観た身としては、まあ、普通です。
その上、その「劇中劇」のラストで忽那汐里演じる「江嶋蘭」が何か絶叫するんですが、「ズルシチョッテンファー」みたいな意味不明のおたけびになっていて、ちょっとまぬけな感じがしました。
それで感動はないでしょう。普通は動揺するだけです。僕は動揺しました。
 
 
しかし犯人自体は最初から判明しています。
いきなり登場する女優「舞利亜」が犯人で、自分で「私が殺した」と独白してます。
ところが映画の画面上、舞利亜の顔は日活ロマンポルノのごとく絶妙に隠されていまして、その正体が判りません。
客に「誰なのだろう?」と思わせる仕掛けです。
 
で、彼女に話しかける映画監督役の前田健が「きみ、あの伝説の劇団、『羅針盤』の一員だったんだって?」と言う。
こちらとしては、「そうなの?」と少し観る気が起きてきます。
あんなに仲良くしてた女子高生4人組が、どうやったら殺し殺されなどという関係になってしまうのかと。
 
 
ここでネタバレ。
観る予定のある人は読まないでください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彼女は「羅針盤の一員」ではありません。しかもその伏線を後出しで見せるという体たらく。
 
これはミスリードなんてものじゃない。
映画を観れば判りますが、前田健がこの台詞をいうことは、設定上ありえないのです。不可能ではないかもしれないが、常識では考えられません。
この矛盾は勘違いなんかじゃ済まされない、観客に対する安易なウソ、欺瞞です。まぬけはしょうがないですが、欺瞞はいけません。
 
しかもこの話、4年前の事件を解決する物語なんですが、その種明かしを聞いてみたら4年も待つ必要が全くないんです。大事な友達がとんでもない殺され方をして、その証拠もすぐに気づいていたのに4年間も何しとったんじゃいと言いたくなります。
 
 
 
観客は僕を含めて5人。
1人はずっと、あんなに暗い上映室でスポーツ新聞を読んでいました。
僕は映画を観ている時、面白くなってくると前に乗り出すか、うつむいて上目遣いにスクリーンを観る癖があるんです。
しかしこの作品は、座席に深く座ったまま、しっかり真正面で画面を観させていただきました。
 
いろいろ言いましたが、万人受けしないだけかもしれません。ぜひ観に行って下さい。
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2011年02月02日

映画「RED」観たよ

昨日の2月1日、映画の日なので1000円で観てきた。
一番最後の回だったが、神戸国際松竹で客は7割くらい。

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見終わった瞬間、思わずつぶやいた感想は一言で「あー、面白かった」。
映画館で映画観た!という満足感といおうか。

話はおおざっぱだし、演出はB級っぽくしてある。
あえて、真面目にふざけているといった作品で、俳優の持つパワーで画面を統制し、やっと成立している感じ。
ブルース力(りょく)、モーガン力、マルコヴィッチ力、といったところか。
そういう俳優力で持ってる映画であり、めんどくさいから役名じゃなくて俳優の名前で以下書く。

一応、役名はこっち。
  • ブルース・ウィリス    (フランク)
  • モーガン・フリーマン   (ジョー)
  • ヘレン・ミレン      (ヴィクトリア)
  • ジョン・マルコヴィッチ  (マーヴィン)
  • メアリー=ルイズ・パーカー(サラ)
  • ブレンダン・フレイザー  (役名思い出せず)
  • ブライアン・コックス   (イヴァン)
  • リチャード・ドレイファス (A・ダニング)

主人公のブルース・ウィリスは、かつての凄腕CIA情報分析官。
要するにスパイだね。

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ヒロインのメアリー=ルイズ・パーカーは役所?の年金係。
初登場のシーンだと「今回のヒロインは割と年くってるなー」という感じの肌質なんだけど、映画が進むにつれて若返っていた。

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ラストシーンなんて絶対あれ、10才くらい若くなってたぞ。

モーガン・フリーマンは80才のガン患者で老人ホームにいる。

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でも元々は……何やってたんだろ。敵の身元をいつのまにか探り当ててくる人。
この人は初めて観たのが『ドライビング・ミス・デイジー』の運転手で、『インビクタス』のマンデラ、『ダークナイト』のルーシャスといったように渋くて真面目な人の役が多いが、今回は軽めのスケベじじい。
モーガンはこっちが素に近い(笑)。

で、この手のチームアクションは、大抵いちばん美味しいところを紅一点が持って行く。この作品の場合はヘレン・ミレン。凄腕のスナイパーだったが、今は豪邸で花を活けて暮らしてる。
そんな優雅なマダムが、純白のドレス姿でマシンガンをドガガガガガとぶっ放せば、それだけで絵になる。

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白いドレスでマシンガンを撃つ元スナイパーってどっかで見たなーと思ったが、たしか浦沢直樹の『パイナップルアーミー』にそんなのがいたな。

で、上の写真、ヘレンををサポートしているのが11年間LSDによる洗脳実験で頭がイッてしまったジョン・マルコヴィッチ。

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この人(じゃなくてジョンが演じている役)は基本が妄想狂。
背後に人がいたら尾行者だと思うし、ヘリが飛んだら狙撃される!と大騒ぎする。
しかし、その妄想は時に正解に至る。
これをコンスピラシー・セオリー(陰謀史観)と言う。

そんなブルースたちのチームの前に立ちはだかるのが、CIAの若手。
ブレンダン・フレイザー。

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一時激太りしてたが、痩せて良かったね。
途中、ブルースがCIAに侵入するんだが、何を思ったか意味もなく彼の部屋に突入。大乱闘して去っていく。

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観客としては面白いながらも意味が判らないんだが、当の本人も台詞で「意味が判らん」みたいなことを言う。
なんじゃそりゃ。ははははは。

地味に一番力を発揮したと思ったのが、ブライアン・コックス。

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この人誰だっけなーと思ってたんだが、『トロイ』でアガメムノンやってた人だ。
この人の出てくるシーンはほぼ全て、コントみたいな大ざっぱさ。

この人だから少々おかしくても「なんでやねん!」と笑っていられるが、下手な俳優だったら「(真顔で)はあー?」という感じになってしまい、とてもじゃないが画面が持たなかっただろう。

現に名優であるはずのリチャード・ドレイファスも軍需産業の黒幕として出てくる。

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この人の場合、シナリオのおおざっぱさが彼の能力を超えてしまっていて、若干画面を抑え切れてない感があった。

というわけで全体としてはすごく面白かった。
ただ、以下は文句。

・ミサイルランチャーの装填がおそすぎる。
・ジョーはどうやって自分が死んだと偽装したんだ?
・CIAの資料室、壁が発砲スチロールでできてるのか?
・CIAというのは部屋でドッタンバッタンぶち壊しまくる大乱闘やっても、誰も見に来たりしないのか?

一番の問題は「字幕が雑」なこと。
ブルースとブライアンがロシア大使館で会談するんだけど、一箇所ロシア語?になってて、そこが訳されてない。
でもそこは何か重要(もしくは粋な)台詞っぽい。

それだけじゃなくて、そこかしこであからさまに字幕以上の台詞をしゃべってる。
意味を要約するのはいいとして、固有名詞もいくつか飛ばされてる感じがした。
DVDで吹き替え待ちだな、これは。



でも辛気くさい映画、暗い映画よりは、こういう作品こそ映画館で観るといいと思いますよ。
面白かったです。
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2011年01月30日

好きな歴史系漫画

最近、歴史ものとして書かれた漫画のレベルがもりもり高くなってきてると思いませんか。

史実と創作がわやくちゃにならないように、膨大な情報をうまく消化している作品が多いと思います。
編集者個人がよほどの好き者なのか。歴史やってる大学院生あたりが動員されているのか。
それともそういうのを調査する専門集団でもいるのか?

私個人としては、高嶋さんの資料調べは全般的にやらせてもらってますが、『乱神』のときは鎌倉時代日本の元寇と、西洋ヨーロッパの十字軍を合体させる必要がありました。
彼我の装備にともなう戦闘力の差や、当時の生活習慣など、なにぶん素人なもので調べていて頭が割れるかと思いました。



『ヴォルフスムント』
狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)
オーストリア帝国の国境にある関所が舞台。1巻の1話めで、いきなり予想を裏切る展開。
どんどん嫌な気分にさせられ、帝国への怒りや憎しみが積もり積もっていく。
つまりは、ヤクザ映画でカチコミに行くまでの高倉健のような気分になってくるわけだ。
21世紀に転生した「カムイ外伝」みたいな感じで、ひどいんだけど展開が気になる。

『ヴィンラント・サガ』
ヴィンランド・サガ(1) (少年マガジンコミックス)
これはすごい。何がすごいって、主人公サイドであるバイキングのひどさをきちんと描いている。
それでいて、あの弱々しいクヌート王子が後にイングランド、デンマーク、ノルウェーを統一する北海の帝王になるってか?という王道の少年漫画的ロマンもある。
また人物の中に善悪があって、その時の状況にもてあそばれて苦悩しなければならない姿も描かれる。
どこぞで売れまくりの海賊漫画とは違う。
人殺しも略奪もしない海の民って、それおまえ、ただの漁師じゃねーかっていう。

『ヒストリエ』
ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)
紀元前4世紀の古代オリエント。主人公のエウネメスはいわゆる「カルディアのエウネメス」。
6巻あたりからアレクサンドロス大王(アレキサンダー3世)麾下の書記官となり、さらに大王死後はディアドコイ戦争のプレイヤーとなる人です。
これについては、以前【こちら】に書きました。

■以下、スタンダードですが。

『あさきゆめみし』
あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社コミックスミミ (960巻))
時間のない受験生が「源氏物語」を知りたければこれを読め、といわれる名作。
宇治十帖あたりはかなり省略されてるが、一般教養としてそこまで求められる場面はまずない。

『日出処の天子』
日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)
いろんな意味でギリギリの聖徳太子。
でも、もし本当に聖徳太子が実在したとするなら、これくらいの人物だったらいいなーと思える魅力がある。

■前半はめちゃくちゃいいんだけどなー、という作品

『蒼天航路』
蒼天航路(1) (モーニングKC (434))
三国志でいう「魏」の創始者である曹操が主人公。
三国志演義じゃなくて、正史の方の三国志をベースにしつつ創作や俗説をうまくちりばめてある。
で、幼少時から常人離れした曹操がのしあがっていき、誰も実行できなかったような国家経営や軍事指導を行っていく。
その辺は最高に面白い。
織田信長が人気あるのも、こういう「前半部分」で人生が終わっちゃったからかも。
でもだんだん情勢が落ち着いてくると曹操があまりに超人すぎるのが災いしてか、後半はハイテンションなんだか解脱してんだかよく分からなくなり、官途の戦い終了あたりから徐々に読まなくなった。

『センゴク』
センゴク(1) (ヤングマガジンコミックス)
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕えた武将・仙石権兵衛秀久を主人公に戦国時代を描いた作品。
金ヶ崎撤退戦や比叡山焼き討ちは最高に盛り上がる。車懸りなんてハハハハこやつめと笑いながら楽しめる。
これも前半はセンゴクゴンベエ自身がちゃんと物語に絡んでて、史実と創作を強引に娯楽作品として昇華してたと思うが、だんだん信長や秀吉といった上層部の話になってしまい、よくわからんおっさん日本史になりつつある。
たぶんその辺をどうにかすべく外伝(桶狭間戦記)も書いたんだろうが、それでゴンベエが活躍できるわけでなし。

『花の慶次』
花の慶次―雲のかなたに (第1巻) (Tokuma comics)
これは最初から最後まで面白い。
ただ原作(一夢庵風流記)を先に読んでたので、後半の沖縄編でかなりびっくりした、というだけ(原作は沖縄じゃなくて朝鮮半島に行く)。
原作にはない原哲夫個人による味付けが実に男の心をくすぐるというか、寺沢武一の描くコブラさんと一緒で、主人公があまりにかっこよすぎて笑えてくるという。
何事も過ぎたるは及ばざるがごとしとはいうが、あまりに過ぎたるものは神になるわけだ。
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2011年01月08日

最近観た映画

DVDですけど。

『フィリップ、君を愛してる!』
現在服役中である天才詐欺師、スティーブン・ラッセルの実話がベース。
スティーブン(ジム・キャリー)は刑務所内で、フィリップ・モリス(ユアン・マクレガー)に恋をする。
そしてあらゆる手立てを使ってアタックをかけ、フィリップと結ばれるのである。
ラブシーンはかなりどぎついが、2人に妙な清潔感があってイヤじゃない。
また本来男っぽい感じのユアンが、ここでは非常にかわいい。

映画としては、スティーブンのシャバでの詐欺師っぷりと、刑務所内での謀略ぶり、そして恋人に愛を伝えるために命を賭ける情熱ぶりが面白い。
「男の優しさは滑稽に通ずる」と言ったのは隆慶一郎だが、全編がそういうおかしさにあふれた良い作品だと思う。
やはり何事もエクストリームな人というのは、身近にいたら大変だろうが見ている分には最高に楽しい。
天才詐欺師になるには高速回転する機転と、それを押し通すクソ度胸が必須だなと改めて感じた。

「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でディカプリオが演じていたアバネイル氏のように、こういう破綻した天才という存在を何か公的に活用する手だてはないものだろうか。
目的は正しいが手段が悪いという意味では政治家なんかいいと思うけど、当選するわけないか。



『ザ・ロード』
かったるい映画だった。
なんか、だらだらした話。再生速度1.5倍で観てもまだ遅い。
面白かった人にはごめんなさいだが、面白くないと思う人もいるのだと思って勘弁してほしい。

食糧がなくてどうしようもない未来世界なのだが、主人公の子供がずっとそこで生きてきたとは思えないようなきれい事ばかり言う。子供ってもっと空気読むものだと思うけどな。
で、お父さんは息子に、劇中何度も「他人に警戒しろ」と言い続ける。
なんせ食料がなく、人が人を食べまくっている状況なのである。

ところがラストシーンで、お父さんがそれまでに命を賭けて伝えてきたメッセージはまるっきり無視。
孤独になった息子は、初対面の家族にあっさりついていっちゃう。
映画的には「いかにもいい人たち」みたいな描写になってるが、さほど甘い世界ではあるまい。
私はこのラストシーンで、「あー、息子、確実にこの家族の『お弁当』にされるな」と思った。
10代の頃くらいなら感動できたのかなあ、という作品。



『9(ナイン)』
これも破綻した未来世界(ディストピア)の物語。
CGアニメとしてはよく動いている。
命を吹き込まれた9番目の人形である主人公は、同様のナンバーシリーズたちと出会い、そしてまあ色々冒険するわけだ。
ところがこの主人公、やることなすことの全てが仲間を死に追いやっていく。

基本的には主人公の浅はかな行動でトラブルが起き、仲間たちはそれを止めようとして次々に落命。
仲間はいろんなタイプがいて、ひとりだけ女。
これがまたよく働く女である。

しかし主人公は女以外のほぼ全員を犠牲者にして生き残り、「新しい世界は俺が守る!」とばかりに意気揚々と女を連れていくのである。
主人公に悪人の自覚があればまだ救われるが、こいつにそんなまともな思考はない。
「共に戦ったが、はしなくも自分たちだけが生き残ってしまった」みたいな顔をして平然としている。
ブラックユーモアのつもりだろうか。
それともアメリカではこういうのが良しとされるのか。ああ、やだやだ。

ところで日本ビクターが、トウモロコシのでんぷんを原料に使ったDVDを開発したそうである。
トウモロコシもこんな作品を収録させられるとあっては、芽吹くのを拒否するのではあるまいか。
地球温暖化とか言ってる折、こんなものを再生して電力を消費したことを私は恥じている。



『パリより愛をこめて』
たぶんフランスの「高倉健主演映画」という感じ。
ヨッ、待ってました!というか。
映画館でいうと、ポップコーンじゃなくて折詰弁当食べながら見たいというか。

お話には矛盾点というかおかしなところが多かったが、キャラ立ちが良かった。
レンタル屋で「5本1000円」みたいな割引があって、あと1本足りないなと言う時にちょうどいいと思います。ぜひ。



『パラノーマルアクティビティ』

……全然怖くねえぇーっ‼

こちとら怖がりたくてホラー映画を観ているというに、一秒たりとも怖くない。
この映画で怖がれる奴って、どんだけガラスのハートをしてるんだ?

ひと気のない夜道でヨコハマタイヤの看板見た時の方がまだ怖いわ。





■参照
yokohama.gif

夜道をこいつが転がってきたら、間違いなく失禁するであろう。
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2011年01月02日

武士の家計簿

1日元旦に観に行ってきました、『武士の家計簿』

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江戸時代末期、加賀藩の「御算用者」(ごさんようもの、現在の日本における地方公共団体の会計管理者にあたる)を担っていた猪山家。その8代目・猪山直之のもと、膨大に膨れ上がった猪山家の借金返済に一家を挙げて奔走する姿と彼らの家族模様、そして藩内の政争や幕末維新の動乱に否応なく巻き込まれながらもそれを乗り越えてゆく直之と息子・成之や家族の姿を描いた作品である。原作は2010年9月時点で20万部。
監督は森田芳光で、石川県金沢市などの各地で撮影が行われた。舞台となった石川県では2010年11月27日に県内の6映画館で先行上映が行われた。 キャッチコピーは「刀でなく、そろばんで、家族を守った侍がいた。」。
(Wikipediaにあったあらすじ)


最近、映画会社で時代劇を作ってきた世代が引退してしまい、昔ながらの殺陣や衣装、演技指導のノウハウが失われつつある(あるいは、失われている)。
そこで技術の継承という意味もあって、こういう新しい形の時代劇が作られている側面があるのかなと思います。

お話しとしては、「経理部の若手社員が社内の不正を発見してしまい、上司に報告するも握り潰され、左遷の憂き目に?」と言われると全く普通のサラリーマン年代記である。
それが加賀藩のご算用場での話であり、背広が裃になっただけなので非常に分かりやすい。

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こういう映画のキモはお話しの展開ももちろんのこと、それ以上にどれだけ「時代考証がきちんとできているか」が大きな問題となる。
(正確に言えば、「時代考証がきちんとできている風に見せられるか」だが)

たとえば『偽札』という映画があったとすると、偽札をめぐるハラハラドキドキのサスペンスという物語がもちろん重要となる。
しかしそれ以上にきちんとしてもらいたいのは、「偽札の制作過程」でもある。
そこをどれだけ「それっぽく」見せられるかが映画としての面白さを大きく左右するといっても過言ではない。

この『武士の家計簿』の場合だと、算用場を描くにあたってまず若手が早くにやってきて墨を摺る。
皆がそろばんをはじき出したら、お茶を用意して皆に配る。
上役がやってきたら「おはようございます」と一斉に挨拶する。
お昼になったら帳面を閉じ、三々五々に顔を寄せてお弁当を食べながら雑談に興じる。

こういうところを丁寧に見せられると、映画の物語としての信用度がグンと上がるし、様式が異なるだけで人間の生活そのものは変わらないわけだから現代の会社風景と重なって共感が得られることになる。

そのため映画の前半は非常に面白い。
見栄や慣例にとらわれず、合理的に、そして物事に誠実にあたる猪山直之(堺雅人)の姿にわくわくさせられる。
また息子・直吉(長じて成之)に幼少時から家計をやらせ、「お金との付き合い方」を徹底的に叩き込む教育姿勢も、多くの大人を共感させられるものだと思う。

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ただ映画の後半が、前半の丁寧なつくりとは違い、かなり急ぎ足になってしまう。
話の狂言回しとなっている成之は大村益次郎の元で働くことになるのだが、具体的に何をやっているのかよく判らない。

軍隊というのは大量の兵士を動員し、目的地まで展開させ、そして実際に攻勢をかけるまでを細かく計算するものである。
部隊編成・集結地・作戦軸・攻撃目標などを、すべて事前に策定しなければ集団を動かすことはできない。
それはたとえば正面幅で五歩、縦長区分二十五人を第一線におき、直協部隊何人、戦略何個師団、後方兵站、予備兵、本部兵……といった具合となる。
こういった計算を数時間単位で割りだし、さらに集結広場の確保、物資の搬出伝票、宿舎わりあてなどと、おそろしいほどのこまやかさで決めてゆくものだ。
映画の冒頭で少しそういうシーンがあるがそれは平時の話であるから、乱時はどうなるかというのを成之のエピソードとして一つだけでも、雰囲気だけでも描いておけば「父から受け継いだもの」を完全に消化できたのになと思う。

ただこの物語は、祖父・父・子という三代にわたる男たちの伝記的なお話しであって、それが江戸から明治への時代の変化と重なって描かれている。
経理というのは数字を合わせてそれを次に引き継いでいく仕事である。
金勘定を正確にやるのは一種の職人芸であり、そこには私たちの生活を支える真摯な態度がなくてはならない。
お金と誠実に向き合う姿勢がなければ、いつかその組織は必ず破綻することになるからだ。
そのことが祖父から父へ、そして父から子へと引き継がれていく「家の誇り」ときちんと同調している。

そのため、いかにもな感動的シーンよりも、何気ない普段の描写で涙をすすりあげる音がそこかしこから聞こえることが多々あった。
みんな、それぞれ自分の家族や職場の、日々のちょっとした記憶と重なってしまうのだと思う。
というわけで、なかなか面白い作品でした。
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2010年10月02日

2日連続時代劇

一昨日、銀座のTOHOシネマで『十三人の刺客』を観てきました。

三池崇史監督で、出演は役所広司、稲垣吾郎、山田孝之、松方弘樹、沢村一樹、六角精児、波岡一喜、伊原剛志、古田新太、伊勢谷友介、市村正親など。


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2時間半という長い尺で、ずっと泥だらけの男だらけ。

古い名作のリメイクということですが、元が1963年ということで観てません。


悪役の稲垣吾郎がとんでもない悪さで、これがもうすんばらしい。

「善悪と割り切れないのが人間なのだ」とか「悪役にも色々事情がある」とか、そういうまどろっこしいしたり顔で作ったようなキャラ設定はないです。


悪い奴は悪い、だから殺して良し!


この気持ちよさ。

ただ上記の「まどろっこしさ」を好きな向きにも、ちゃんと稲垣側近である市村正親が用意されております。


でも最近思うのですが、私はどうも「日本男児の美学」というのがだんだん肌に合わなくなってきてる気がするのです。

この映画でも、山田孝之が追いすがる妻(吹石一恵)にピシャリと「すぐに帰る。帰らなかったら……盆に帰ってくる」みたいなことを言って多くを語らず出て行くわけです。

こういうのが格好いい、というのが男の美学であるのですが、それなりに男としてカッコイイねと思いつつも、「もうちょっと説明してやってもいいじゃねえか。減るもんじゃなし」とも思ってしまうわけですね。

言っても詮無いこと、というわけでもないんですよ。

刺客として旅立つ以上は、その先に円満解決は待っとらんわけで、家族は事と次第によってはすぐにその場を逃げ出さにゃならんかもしれんし。



後半はずっと戦闘シーンで、チャンチャンバラバラ、チャンバラバラ、チャンチャンバラバラ、チャンバラバラ、と50分くらい戦いまくります。

13人は鬼神のごとくというよりチート状態の強さで、繰り出す攻撃は全てクリティカルヒット、受ける攻撃は全て間一髪ノーダメージ。

爆薬も大放出で、ドッカンドッカンいく。


でもここはあえて言いますが、この戦闘が、長い。長すぎる。

その中で特にイキイキしてたのが松方弘樹、いちいち見栄を切ります。

それでもって斬って殴って焼いてどついて刻んで死人が山積みになる。ところが血しぶきあげてる割には、刀がずっとピカピカしてる。

リアルなんだかチャンバラなんだかわからない。でもまあ面白かったからいいや。




次は昨日、神戸の国際会館で観たのが『大奥』。映画の日だから1000円。

こちらは泥成分0%の男だらけ映画です。


よしながふみ原作のマンガを映画化。「男女逆転」した江戸時代、柴咲コウが将軍吉宗であり、美男3000人の大奥を舞台にした物語です。

男ばっかり死ぬという状況で将軍が女でいいんだったら、そもそも大奥必要ないのでは……と思うが、そういう野暮なことは言わない。


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この作品、原作コミック1巻に非常に忠実。

大ヒットしてる漫画というのは既に客に受け入れられたプロット、台詞、テーマ、構図を持ってるわけで、長い巻数をまとめるのでないなら、これを脚本家・演出家がいじる必要は全くありません。

あとはどれだけしっかり落ち着いた映像に落とし込めるかであって、その辺はよくやってると思いました。

でもまあ、映画でやらんでも、テレビドラマでよくね?とも思いますが。


愛読者その1としては、水野が二宮和也というのはちょっと違和感がある。

背が低すぎるんだよね。お信(堀北真希)を抱きしめても、背がほぼ同じ。

演技力もルックスも問題ないだけに惜しい。

そういえば水野がお信をおんぶして石階段を登るシーンがあるんですけど、ずっと背中しか見せない。

おんぶというのは正面から見ていいものであって、負われる女性としては後ろからは見られたくないポーズであるはず。


さては二宮、おんぶできなかった?


まあいいや。

で、「大奥究極の美男」である松島こと玉木宏は本当に美男子。佐々木蔵之介の藤波、阿部サダヲの杉下も良し。

いちばん「おおっ」と思ったのは和久井映見演じる加納久通。

ちょっとふっくらした和久井が、キャラ名を言われなくても「あっ、久通だ」と判るくらいぴったり合ってました。

あと柴咲コウの登場シーン。白馬に乗って疾走。さらに町人スタイルで町をお忍び歩き。


やっぱ女になっても暴れん坊将軍は健在だ。吉宗はこうでなくてはな。


ただ映画館がレディーズデーでもないのに女だらけ。

男は自分を含めて館内に3名しかいませんでした。

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2010年09月23日

先月観たもの一気に

『ノーカントリー』
いろんなところで「悪役がすごい」っていうので観ました。確かにすごかった。
初登場でいきなりものすごい脱出してみせて、ヒッチハイクするシーンの不気味さがすごい。
こんな異常な雰囲気を出せる人はなかなかいない。
まず基本的に「でかい人」というのは、魅力と同時に恐怖の対象でもある。
笑ってても怖いし、怒ったらもちろん怖い。
むしろその恐ろしさが目を離せない魅力となって、こちらは引き込まれていく。
で、この悪役であるハビエル・バルデムの「でかさ」というのは、ただ体が大きいだけなのではなくて、まとった空気そのものがでかくて重い。画面に出てくるだけで「ドシンッ」という音がしそうなくらいに。
だからガソリンスタンドの親父に異常な絡み方をするような「いかにも」なシーンよりも、笑顔になっているシーンの方が相対的に恐ろしくて魅力的になる。
映画のエンディングは、観ているこちらが「えっ」と言ってしまう終わり方だが、こういう感じ、昔はよくあった気がする。
でも原題が「No Country for Old Men」なのだと知ると、ああなるほどねとも思える。
もしかしたら最近の映画でも実はこういうのはよくあるのかもしれないけれども、自分としては懐かしい感じがした。

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (108)
5注)この映画はサスペンス、アクション映画ではありません
4これは評価が難しい
4一回目より二回目。見入ってしまった映画です。
4一番退屈なおっさんが主役かよ
2果たして?


『さくらん』
おいらんものの作品で、はたしてハッピーエンドというのはこの世に存在するのだろうか?
大金持ちに見受けされるか、もしくは好いた男に裏切られて、脱走しようとして折檻されて、もしくは遊郭ごと大炎上とか。
この作品もやっぱり同じ(炎上はしないけど)。
画面は一時停止するとどれも綺麗。でも動いてると駄目になる。これって映画としては致命的なのでは?
土屋アンナが跳び蹴りするシーンなんて、「はあ〜」と特大のためいきをついてしまった。
もっと勢いよく蹴ってくださいよ。
間夫のところへ向かうけれども裏切られて……というシーン以降、映画の失速具合が急激になる。
ラスト30分はほんといらない。
『初恋の来た道』ラストの現代〜回想シーンくらいいらない(この映画はラストのそこまでは神だったが)。
原作がどうなってるのか知らないので申し訳ないですが、さくっとカットしてもよかったのでは?
こんなこと言いたくないが、ああいう終わり方は10代なら感動したかもしれない。
しかし今となっては「なんでだよ」というため息しか出てこない。

角川エンタテインメント (93)
3キャバクラ嬢風味の花魁物語
5人生、それは他者との関係性の中で循環する時間
1ひっでぇ
3ガラッパチ花魁!
5美しい


『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
面白かったです。
欲望の黒い炎が……とか、えぐいおっさん一代記とか言われているようですが、別にそんなことは感じなかった。
起業してのし上がっていく人って、みんなこんな感じでしょう。全然えぐくないよ。
善人でも悪人でもない、純然たる「創業者」。なので単に「おっさんの一代記」としてとっても面白かった。
ところでこの映画は、「ノーカントリー」と同じところでよかった。
何がいいと言って、「効果音」がいい。
見終わってから記憶に残ってるのは、道を歩く時や自動車が動き始めた時の「ジャリジャリッ」という小石を踏みしめる音や、部屋で物を動かした時の「カチャッ……スルッ」といった音。
これがすごく気持ちよくて、何度も聞いてしまった。

ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント (40)
5
2ベンチャー精神
3最初はしばらくの間、セリフもない場面が只管続くため、戸惑うかもしれません。
5テーマは、理性 vs 悟性
3現代アメリカへのアンチテーゼ


『君のためなら千回でも』
すごく嫌な映画。誰でも記憶の奥底に「子供時代の思い出したくない、思い出したら死にたくなるような恥ずかしい、情けない自分の言動」というものがあると思うが、この映画はそれを思い出させる。
主人公のアフガニスタンでの少年時代の行動は全くもって最低で、物語のヒーローとしてはこれほどどうしようもない奴もない。
この部分は非常に良かった。
ところが成長して現代視点になり、アメリカで暮らしてた主人公はもう一度アフガンに戻ることになる。
そしたらそこの孤児院にいたおっちゃんとちょっとしたぶつかりあいになるんだけれども、その言い分がトンチンカンで鼻白む思いになる。
しかもおまえ、あんだけ言いたいこと言ってごめんなさいも言えないのか。
それとハッサンへの友情は、あの救出劇で示したと言いたいのかもしれないが、なんだかハッサンがずっと変わらず抱き続けてきた「思い」がいまいち報われてない気がしてならない。
全体的には都合が良すぎるが、いい話だとは思う。
でもラストに「君のためなら、千回でも!」と主人公が叫んだとき、その背後でアメリカ人制作者たちが「これで感動間違いなしっしょ、げはは」って言ってる気がしてしまってどうにも駄目だった。
『スラムドッグ・ミリオネア』で、イギリス人監督が「雑で混乱して貧しくしときゃいいんじゃね? インドってこんな感じっしょ。げへへ」って言ってるみたいなイメージとかぶる。

角川エンタテインメント (8)
4ハッサンの健気さ!
5Excellent product, excellent service
5贖罪とも呼べる行動で真の友情を描き、戦争という事実へ問題提起
5是非観ていただきたい!
5感慨深いです
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2010年07月20日

インセプション観てきたよ

大阪梅田のブルク7で、先行上映のレイトショーがあったので、観てきました。

そのまえに1時間ほど持ち重なりしまして、近くの喫茶店に入ったんですが。
左隣に座ったのが40代男×1+10代女×2。
右隣が50代男×2。
左から聞こえてくる会話が、
「俺、今までやった女、ぜんぶ動画とってあんねやけどさあー」「えーキモーイ」
といった感じで、笑えもしない、単なるきついシモ話が延々と続く。大体どういう関係なんだよ、おまえら。

右からは、
「こないだ阪急電車で、ヤンキーの兄ちゃん3人が、いきなり目の前にいたカップルを『むかつくんじゃー』ゆうて殴りだしてやあ、女の子もう鼻血でとるんや。そやのに車掌もビビッて出てこおへんねや。ははは

こんなのが左右からステレオで聞こえてくる。
大阪……おそろしすぎる……。
大阪にはヤクザと吉本と○○しかいないなどとよく言いますが、あれはウソです。
ヤクザしかいません。常在戦場の暴力都市です。



で、映画。
2008年一番面白かった「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督。
上映時間中、ずっと「ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」と重低音鳴らしっぱなしの演出は健在です。
(音楽も同じハンス・ツィマー)



主人公のドム・コブは、人の夢(潜在意識)に入り込むことでアイディアを"盗み取る"特殊な企業スパイ。コブは昔、最愛の妻モルと夢の中へ幾度となくダイブし、潜在意識の深い階層で妻と二人きりの時間を楽しんで暮らしていたが、やがて現実と夢の判別がつかなくなったモルは自殺し、さらにコブは妻殺害の容疑をかけられ、今では家に2人の子供を残しての逃亡生活を余儀なくされていた。
そんな彼に、強大な権力を持つ大企業のトップのサイトーが仕事を依頼してきた。依頼内容はライバル会社の解体と、それを社長の息子ロバートにさせるようアイディアを"植えつける(インセプション)"ことだった。困難かつ危険な内容に一度は断るものの、妻殺害の容疑をかけられ子供に会えずにいるコブは、犯罪歴の抹消を条件に仕事を引き受けた。
夢の世界を構築する「設計士」のアリアドネ、他人になりすましターゲットの思考を誘導する「偽装士」のイームス、夢の世界を安定させる鎮静剤を作る「調合士」のユスフをメンバーに加えた6人で作戦を決行。
Wikipediaによるあらすじ



映画は2時間30分以上あり、かなり長いです。
でも(私は)全く気にならないくらい面白かった。
話がややこしいので、体調のいい時に観るのがおすすめ。
(細かい部分を見逃すと、「話が全然わからず面白くなかった派」と「複雑だったけど面白かった派」に分かれます。たぶん)

inception4.jpg

基本的に舞台は夢の中ですので、なんでもありの映像演出が楽しいです。
↑は、街が奥の方からめくれあがってきてるところ(2つ折りになります)。

inception1.jpg

↑飛行機の機内に戻るため、バンが橋から落下し、そのせいでひっくりかえったホテルの528号室で宙ぶらりんの仲間(雪山で戦闘中)を全員爆殺すべく、警備と格闘するアーサー。

↑何言ってんのかわからないと思いますが、本当にそういう話です。

inception3.jpg

日本人としては、やはり渡辺謙が出てることが気になるでしょう。
今回、渡辺さんは「一応出演してた」とか「後半は全く出ないよ」とかではなく、超重要な役です。
最初から最後まで出ます。
映画は「始まっていきなりワタナベ」状態であり、
日本語セリフからスタートするので、一瞬「間違えて吹き替え版の上映に来ちゃった?!」と焦ります。
ヘリコプターで東京タワー上空を眺めて新幹線で京都に向かうという、嬉しい人には嬉しいであろう部分もあります。

また映画では、「具体的にどうやって他人の夢にダイブして共有するのか」という説明は一切ありません。
ジュラルミンケース開いて変な機械のボタンをブシュッて押したら、準備OK。
「ダイブできたらおもしれーだろ」という所から始まってる話なので、「じゃあどうやってダイブする?」なんて無粋なことは考えないという潔さ。
それでいて「ダークナイト」で超成功しちゃってるんで、予算を青天井で使えました思いきりやらせてもらいましたありがとうございました、という感じ。

しかし夢の中での活動については、かなり細かくルール設定されています。
確かにそういう部分はちゃんとしとかないと面白くない。
たぶん頭が良くて才能のある人たちが集まって脚本を作ったんだろうなという感じ。
ただそうした脚本集団(クレジットはクリストファー・ノーランが脚本・監督だが、おそらく複数人で推敲して組み上げてる)の人たちは、おそらく途中から「作家というよりパズラー」状態だったろうとも思います。
ご苦労がしのばれます。
日本映画の惨憺たる状況を思うと、やはり「儲かる→人材が集まる→より面白くなる→儲かる」というスパイラルがあるんでしょう。日本は逆。

ただオチは「逃げた」と思います。
結局ああすることで、思いも寄らなかったシナリオの矛盾を攻められてもいいようにしやがった、と思いました。
気にしなくていいのに。面白かったから。ノーランは真面目だな。



というわけで「インセプション」、面白かったです。
ただしもう一度言いますが、疲れてない、体調のいい時に観てください。

作中、何度か「夢に囚われてはいけない」という台詞があります。
ところが私の隣に座ってたおっさんは、完全に夢に囚われてました

寝るといびきをかくので、
連れの女性に起こされる→起きる→寝る→起こされる、を2時間30分やり続け、
「夢と現実がぐちゃぐちゃになる物語」を「夢と現実がぐちゃぐちゃの状態で観賞する」という、ある意味ぜいたくなおっさんでした。
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2010年07月18日

学習としての「ローマの休日」

映画は映画として純粋に楽しむといいんですが、
起承転結とか序破急といった、物語の「構造」を勉強するのにいい映画というのもあります。

そのひとつが「ローマの休日」。

roma1.jpg

脚本はドルトン・トランボ。
DVDでは修正されていますが、映画公開時のクレジットは「イアン・ハンター」でした。

roma2.jpg

当時アメリカでは、マッカーシーによる「レッドパージ(赤狩り)」という思想弾圧がありました。
要は「アメリカから共産主義者を追放しろ」ってことなんですが、トランボは「私は共産主義者ではありません」と証言することを拒否し(自分がアカかどうかではなく、そうした弾圧に与することを拒否した)、パージされていました。
そこで彼は名を隠して「ローマの休日」を書き上げ、アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。
当然、受賞のステージに彼は現れず、ただ妻とふたりで静かに祝杯をあげていました。
たとえどんなに圧力をかけようと、「本物」を作る人間を押しつぶすことはできない、ということなのでしょう。

この辺の話は「栄光なき天才たち」の第1巻に詳しいので、読んでみてください。
(第1巻は他にエヴァリスト・ガロア、人見絹枝、エリシャ・グレイ、古橋廣之進、エンリコ・フェルミ、鈴木梅太郎、サチェル・ペイジと全編傑作状態です)

森田 信吾, 伊藤 智義 (6)
5・・・そういう事かもしれないな。
5これがすべての始まり
5・・・彼らはついに、栄光を手にする事はなかった。しかし
5天才天才といいますが
5一生に一度は読んでみるといいと思います


さて、映画の中身なんですが、起承転結は厳格に設定されています。
まず物語の基本として、「出かけた者は帰ってくる」(逆パターンは「来た者は去る」)があります。
「ローマの休日」の場合、これは「コロッセオから出て行ったアン王女は、再びコロッセオに戻ってくる」です。

出て行ったなら、

roma8.jpg

再びそこへ帰る。

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もうひとつの基本は「主人公に欠けたるものが満ち足りる」。
アン王女に欠けていたものは「王女としての自覚」です。
子供だったアンは、大人になって帰ってきます。

絵ヅラとしては、コロッセオから出て行く前にはかわいい白のナイトガウンだったアン王女が、

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帰ってきた時には、落ち着いた黒のジバンシーを着ています。

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「起」では、アン王女の「変身前(欠けたる状態)」のキャラクターとしての前提条件を説明しなければなりません。
これが冒頭の謁見シーンと、夜の就寝前シーンとなります。

アンは王女であること。

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年若く、おてんばであること。

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王女という職務を退屈でつまらないと思っていること。

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自分の意思で行動せず、周りの大人にコントロール(薬物で!)されていること。

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その後は要点だけ。
コロッセオから出て行ったら「承」。

ここから「転」。

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ここが「転の終わり」。

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あとは「結」です。
なぜそうなるかは、観ればわかります。
「アン王女の変化」に気をつけながら観てください。
「ここから転」と書いたシーンから「転の終わり」にかけて、アンの人格が明確に変わります。

また「ローマの休日」は観光映画としても大成功しました。
ローマの名所のみならず、ヨーロッパのファッションモード、工業製品の発信としてもアメリカ人に大きな影響を与えたようです。

■スペイン広場

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現在はここでの飲食は禁止されています。みなさん、ジェラートを食べてゴミを捨てすぎたようです。

■サンタンジェロ城

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元々は、ハドリアヌスの皇帝廟でした。
ハドリアヌスといえば、「テルマエ・ロマエ」でも大活躍ですね。

■真実の口

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このシーンはグレゴリー・ペックのアドリブで撮影されています。
「口に手を入れてごらん。ウソつきは噛まれるよ」→「えー」→おそるおそる→「わっ!!」「きゃーっ」
これを10代のうちにやった者とやってない者とでは、後の人生が大きく変わるでしょう(私はやってない、いや、できなかった方)。

■ベスパ(スクーター)

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■フィアット

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カメラマンのアーヴィングが乗っていた車です(フィアット500)。
ちなみにルパン三世が乗っていた黄色いのは、FIAT 500F (NUOVA CINQUECENTO)。
こちらは500B。通称「トポリーノ」です。



そういえば、ジョー(グレゴリー・ペック)が初登場するシーン。
仲間たちとポーカーをやってます。
ここは重要なサブキャラであるアーヴィングの紹介。
さらにイタリア・リラのドルレートもさりげなく提示しつつ、「気持ちよく負ける男」であるジョーの性格が表現されています。

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ここを観ていて思い出したのが、『タイタニック』でジャック(レオナルド・ディカプリオ)が初登場するシーン。

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こちらもポーカーやってました。
ヒーローたる者、勝ち負けはともかく、やはり「勝負する男」でないといけない、ということでしょうか。

で、ラストシーン。アン王女は去り、ジョーもひとり記者会見場を去ってゆく。
ここで一瞬、「アン王女が戻ってくるんじゃ?」と期待させて、やはりそんなことはない、というのがいいですよね。

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2010年06月26日

最近観た映画

別に最新作じゃないです。

「ジュリーとジュリア」
実話がベースだそうです。往年の実在した料理研究家ジュリア・チャイルドと、そのレシピを1年で達成してそれをブログにアップしまくるジュリーの物語。
メリル・ストリープってこんなに大柄だっけ?と、ものすごく不思議だったが、彼女が扮するジュリア・チャイルドが大柄だったということらしい。
料理に関する描写と、ジュリアの年代記は面白かったが、物語全体としては「?」。
要はジュリーのパートがいまいちしまらない。
日常の実話を元にした映画というのは、大体中途半端なストーリーに終わるイメージがある。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (6)
5何気なく、幸せにときめきます。
4元気が出ます!!
4お料理の苦手な私へのバイブル? ジュリー目線です。
41949年と現代に共通するもの、しないもの
5ポーチドエッグを作るのは簡単でないと、初めて知りました



「96時間」
フランスに遊びに行った娘が悪いやつらに誘拐され、96時間以内に助けないとヤク漬けにされた上に人身売買(お金持ちがオークションで若い女を買っていく)へ!
しかしパパの正体は元CIAの凄腕スパイ。即座にアメリカから飛び、わずかな手がかりから犯人を割り出し、アクションに次ぐアクションで娘を救出する!
すっきりコンパクトに盛り上がって、面白かった。
ただひとつだけ、パパが捕まって絶対絶命の危機に陥るんだが、そこから脱出する描写が往年の「カトちゃんケンちゃん」のコントみたいになってた。
天井からタライが落ちてくるレベルの展開。

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (69)
5さすがです
5テンポ良し
4時代劇的?
3おやじ強し。
1パロディだと思うのですが



「グラン・トリノ」
イーストウッド曰く「俳優としては最後の映画」。
移民だらけになったさびれた下町で、ひとり「古きアメリカ人」を貫く主人公。対して離れて住んでいる息子夫婦たちは「現代のアメリカ人」であり、価値観は相容れない。そんな主人公が隣にやってきたベトナム人家族の少年と出会い、「男の生き方」を伝えるとでもいおうか。
割と静かな映画なんだけど、なぜか眠くならない。喜怒哀楽の波が的確だからなんだと思う。イーストウッドが怒って戸棚を破壊するシーンだけは、ちょっとアレだったけど。
でも、あのイーストウッドが胸ポケットに右手を突っ込んで(ここは「主人公が」ではなく「イーストウッドが」というのが重要)、それでいてああなるという終盤が、「あ、本当に俳優としては最後と決めたんだな」と感じさせられた。
タオ少年を散髪屋に連れていくあたりから盛り上がってきて、ラストの教会で神父が「童貞野郎と言われて……」とか言いだして、ひとりだけニヤニヤ笑ってる「イタ公」を見たあたりからエンドロール終わるまで号泣。なぜこんなに泣けるのかわからない。あのシーンを思い出しただけで泣けるくらいなのだが、やっぱり原因がよく自分でもつかめない。
で、考えてみたんだが、私という人間は「男」という定義や理想に、何か憧れや願望があるのかもしれない。大切なものを守れる力とか、ここ一番というところで勝負に出る勇気とか、公というものを大切にしつつ真正面からはとらえず照れてみせる価値観とか。

ワーナー・ホーム・ビデオ (128)
5生きる
4また出会いたい人たち
5イーストウッド最後の西部劇
2良くも悪くもeastwoodのone man映画
5自分を見つめ直したい時に観るべき作品



「ディア・ドクター」
医者(笑福亭鶴瓶)がひとりしかいない田舎の村に、医学部出たての研修生(瑛太)がやってくるっていう話。看護師と薬屋と、八千草さんの存在が良かった(というか救われた)。
「ブラックジャック」で同じような話があったなーって思いながら観た(この映画と同じような感じの医者に、ふらりとやってきたBJが出会う。BJ、その医者を助ける)。
別にこの映画を卑下するわけじゃないけど、ラストの展開はBJの方が良かったと思うんだけど、現実的には無理だろうからやっぱりこの映画みたいになるのかな。

バンダイビジュアル (26)
3話の類似性
1最初の10分で早送りしました。
4最後の八千草薫さんの笑顔で、まるでオセロがひっくり返ったような大逆転で救われた映画でした。
5魔女の宅急便
3善し悪しではない作品
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2010年06月16日

画太郎先生ありがとう

私が尊敬する漫画家のひとりが漫☆画太郎先生なのでありますが、先生の第1回ジャンプGAGキングを受賞した後に、季刊ジャンプに掲載された読み切り作品が「エスカレーション」です。
高校3年生の時に描いた作品らしい。
私は立ち読みでこれを見て、あまりにも笑ったと同時に衝撃も受け、思わずこの「エスカレーション」だけを切り外して保存してしまいました。

ですので、単行本としては「画太郎先生ありがとう いつも面白い漫画を描いてくれて」に載ってるんですが、以下はあえて雑誌掲載時のものからの引用です。

esca01.jpg

季刊ジャンプというのは半分くらいが人気作家のスピンアウト作品やベテラン作家のリハビリ作品(?)だったりして、残り半分が新人読み切りという構成です(現在はどうだか知らない)。

ただ新人漫画家の読み切りというのはおおよそ、まだ編集に鍛えられてる最中であるため、どうしても話が小さくまとまろうとする傾向があります。
なんとか物語として成立させました、という感じで。
何度も何度もネームを書き直した結果なんだろうなあと、その苦労の跡がしのばれてしまうわけです。

ところがこの「エスカレーション」は違います。全然小さくまとまらない。
どのくらいまとまらないかと言うと、

esca02.jpg

こんな感じで始まった漫画が、

esca03.jpg

こんな風にしてエンディングを迎えます。
実際に読んでみないとわけがわかりません。予想不可能。
しかしまあ、とにかく笑える作品です。それだけは間違いない。
ギャグ漫画というのは非常に時流に影響されるジャンルですので、いつ読んでも笑える作品というのは貴重です。

本当、天才ですよ。この人は。

また漫☆画太郎先生というのは、キャラがいつも鼻水やヨダレを垂らしているため「汚い絵柄」というイメージがあると思います。
全くその通りです。
しかし本気を出すと実際は画力が高いというのが、これまた先生のいいところ。
「エスカレーション」の中でも、1コマだけこういうの(↓)が入ってます。

esca04.jpg

突然「え?こんなテク持ってたの?」という細かいトーンワークです。

「珍遊記」で「ドラゴンボール」を、「珍入社員金太郎」で「サラリーマン金太郎」をまるパクリしましたが(どちらも死ぬほど笑った)、ああいうのもそんじょそこらの画力ではできない芸当です。

最高の才能をもった作家が送り出す、最低の作品群。
単行本を読みおわってパタンと閉じたとき、心に浮かんだ言葉がそのまま表紙に書いてあるんでびびります。
「画太郎先生ありがとう、いつもおもしろい漫画を描いてくれて」と。


漫☆画太郎 (4)
5プロトタイプな漫画
5先生ありがとうございます!
5現代のピカソ。
520世紀を総括するにふさわしい本
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2010年05月30日

文芸美術国保の健康保険はお得

まず基本的なことは、こちらへ(文芸美術国民健康保険組合のウェブページ)
http://www.bunbi.com/

-----------------------------------------------------------
組合員の収入が、多い少ないにかかわらず均等です。
平成22年度の保険料
組合員 1人月額 14,300円(医療分 12,300円 後期高齢者支援金分 2,000円)
家 族 1人月額 6,500円(医療分 4,500円 後期高齢者支援金分 2,000円)
介護保険料(満40歳から64歳までの被保険者) 1人月額2,400円
-----------------------------------------------------------

フリーランス(個人事業主)で仕事をしている人の場合、まずは市区町村の国民健康保険に入っていると思います。
そちらは前年度の所得で保険料が増減すると思いますが、とりあえず上記のものより遙かに多く払っている人の方が多いのではないでしょうか。

ただし文美国保に加入するには、以下の条件があります。

日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、組合加盟の各団体の会員である者とその家族。

「組合加盟の各団体」については、作家、写真家、音楽家、画家、彫刻家、デザイナー、書家などなどたくさんあります。

  • アンチモニー型工芸組合              
  • いけばな協会     
  • NHK専属作家協会             
  • 関西デザインオフィスユニオン     
  • 現代歌人協会     
  • 工芸美術家健保会             
  • 全日本書道連盟     
  • 全日本書文化振興連盟      
  • 著作家健保会             
  • デザイナ−健保会             
  • 東京イラストレーターズ・ソサエティ     
  • 東京エアーブラシ協会             
  • 東京グラフィックデザイナーズクラブ     
  • 東京コピーライターズクラブ     
  • 東京版下書道組合             
  • 東京模様糊画組合             
  • 日本アニメーター・演出協会     
  • 日本イラストレーション協会     
  • 日本インダストリアルデザイナー協会     
  • 日本インテリアデザイナー協会     
  • 日本インテリアプランナー協会             
  • 日本映画監督協会     
  • 日本映画テレビプロデューサー協会     
  • 日本映画ペンクラブ     
  • 日本エッセイスト・クラブ     
  • 日本演劇協会     
  • 日本脚本家連盟     
  • (社)日本グラフィックデザイナー協会     
  • 日本クラフトデザイン協会     
  • 日本広告写真家協会     
  • 日本サインデザイン協会     
  • 日本作曲家協議会     
  • 日本作詩家協会     
  • 日本作編曲家協会     
  • 日本児童出版美術家連盟     
  • 日本児童文学者協会     
  • 日本児童文芸家協会     
  • 日本シナリオ作家協会     
  • 日本写真家協会     
  • 日本写真作家協会     
  • 日本ジュウリーデザイナー協会     
  • 日本出版美術家連盟             
  • 日本推理作家協会     
  • 日本タイポグラフィ協会     
  • 日本彫型協会             
  • 日本デザイン書道作家協会     
  • 日本図書設計家協会     
  • 日本パッケージデザイン協会     
  • 日本美術家連盟     
  • 日本文芸家協会     
  • 日本漫画家協会     
  • 日本理科美術協会             
  • 日本レース写真家協会     
  • 俳人協会     
  • 美術評論家協会             
  • 美術評論家連盟     
  • ミュージック・ペンクラブ・ジャパン 

ただし正確な情報はこちらを。
http://www.bunbi.com/dantai.html

で、私は日本文藝家協会に入会しました。
http://www.bungeika.or.jp/top.htm

こちらの入会条件は、

1,入会には「文芸的」著作物である単行本を、一冊以上出版していること(翻訳はOKだが、共著・編著はダメ)。
2、日本文藝家協会の理事1名会員1名の推薦が必要。

で、あと入会費と年会費がかかります。

つまり、自分の名前で出版された「文芸的」と言える著書があるか。
(理事会でちゃんと本を回し読みするそうなので、そうじゃないのに「これは文芸的!」と強弁するのは難しいかと思います)
それから理事と会員の方で、「推薦してください!」と頼める方がいるかどうかです。

推薦会員の方はどうにかなると思いますが、難しいのは推薦理事の方でしょうね。
「理事、会員の推薦者については、ご自身でお探しいただいております」と明記されていますので、協会にそういう人を紹介してくれとか言うのは無理筋です。
http://www.bungeika.or.jp/meibo.htm

こちらはもう、何とかして人脈をたどっていただくしかないと思います。
「この人を推薦してやってほしいのですが」と、理事の方にわざわざ頼んでくれる人を探すくらいなら、直接理事の方を探す方が早い気がします。

さて、肝心の文美国保の方に戻りましょう。
まず加入手続の書類は、組合ではなく加入団体の方からもらいます。
つまり私の場合は、日本文芸家協会に電話して、書類を送ってもらいました。

加入手続にあたっては、以下の書類が必要になります。
  1. 加入申込書(所属団体承認印押印済)
  2. 口座振替依頼書(保険料引落口座)
  3. 世帯全員の住民票
  4. 文芸・美術及び著作活動に従事していることを証明する書面(確定申告書B控)
  5. 70歳以上の方がいる世帯は、法令等の定めにより所得証明
この中で問題は、(4)の確定申告書B控ですかね。

毎年の確定申告ではA書式とB書式がありまして、要するに「Aが簡単バージョン」です。
Bは詳しく色々書く必要があり、中に職業記入欄もありますので、そこに「作家」とか書くわけですね。
それをお国に提出し、お国が「あいわかった」と受け取っておるわけですから、これはどこに出しても恥ずかしくない「著作活動に従事している公的証明」になるというわけです。

つまり組合加入の必要書類4番で求められているのは、申告書Bという書類そのものではなく、「文芸、美術及び著作活動に従事している証明」となる、書類の中身です。

ですから「しまった、自分はA書式で申告していた」ということでも、
来年Bで申告するまで加入できないとは限らず、
そこは組合の方へ、正直に事情を相談されてみると良いでしょう。
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2010年05月17日

白洲次郎・正子の食卓

『白洲次郎・正子の食卓』(牧山桂子)
牧山 桂子, 野中 昭夫 (7)
4目で楽しむ本
5カスタードプリンに眼を細める好々爺
3一度は食べて見たいなあ
2料理本としてはちょっと残念。。。
5武相荘の食卓

まず最初に言っておくと、白洲正子さんは料理しません。もちろん次郎さんもしない。
著者の牧山さんはおふたりの娘さんです。
で、誰の食卓なんだというと、要は「両親ふたりにおねだりされて、いつも娘が作っていた料理の本」です。

料理本としてはスタンダードな内容で、良くも悪くも「普通」です。
ただ、この本の面白さは、桂子さんが両親に対して愚痴りまくるところにあります。
愚痴と言うとおおげさかもしれませんが、両親を良く言おう、良く見せようという意識はないようです。
そのいちいちにユーモアがあって良いのです。

自分の母(白洲正子)に対し、「ああはなりたくないという思い」で料理をするようになったとか、母はちらし寿司をすぐにできるものと思い込んでいるとか。
正子さんは夫を「イギリスかぶれ」と言い、次郎さんは妻を「芋ばっか食いやがって(鹿児島出身だから)」と言うとか。

次郎さんが奥さんから「カニ買ってこい」と命じられ、ワタリガニ買ってきて罵倒される話とか、「人様に言えない理由で豆腐が嫌い」だという話とか、とりすましもせず無邪気で、非常に本当の意味で不自由のない家庭だったんだなという感じがいいです。

あと、「しらす」と太めのひらがなをくり抜いた、次郎さんお手製のカウンターワゴンがいい感じでした。
タグ:cook Book
posted by tk219 at 10:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月13日

柳沢教授の万年筆

先週のモーニングに載ってた「天才柳沢教授の生活」、読まれました?
教授愛用の万年筆がなくなってしまって(教授の失言で、奥さんが隠しただけだけど)、教授が非常に困るというやつです。
それで登場した万年筆というのが、
「セルロイドの緑の濃淡。日にすかして見たくなる」。

そういう万年筆です。

もしかしたら、こういう感じですかね。僕のですけど。
CA391905.jpg

読んでて、緑の濃淡でマーブル模様、もしかして……と思ったんですよ。
もちろん単なる独断ですが。

ちなみに私の持ってるのは、PILOTのカスタムレガンス(Custom LE)と呼ばれるシリーズのひとつで、こちらも思わず透かしてみたくなるような美しさを持っています。
http://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/customlegance/index.html

ただし現行モデルでは、もうこの色は出ていないようです。
タグ:diary
posted by tk219 at 18:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月06日

耳そうじ

気持ち悪くてしょうがないんだけど、同時にすごく気持ちよくなっちゃう動画。
耳かき、耳掃除の映像なんですが、通常レベルのものではないです。

※人によっては、かなりのグロ映像です。



ラスト、一気に「とんでもない大物」を引き出すところがすごいです。

うわあ……えっ……おっ……うわあ……おっ……うわあ……
わわわわわわわ
ふ〜

みたいな感じです。
タグ:movie
posted by tk219 at 11:16 | Comment(3) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月26日

最近の癒し動画

心あたたまるとかではなく、悩むのがあほらしくなる動画です。



月(Moon):3,500km
水星(Mercury):4,880km
火星(Mars):6,794km
金星(Venus):12,104km
地球(Earth):12,756km
海王星(Neptune):49,532km
土星(Saturn):108,728km
木星(Jupiter):142,984km
太陽(Sun):1,392,500km

Sirius:2,338,560km
Pollux:11,136,000km
Arcturus:22,132,800km
Rigel:97,440,000km
Betelgeze:904,800,000km
Antares:974,400,000km
MU Cephei:3,481,250,000km

現在のところ、判っているもので最大の星

VY Canis Majoris:2,505,600,000〜2,923,200,000 km
タグ:movie
posted by tk219 at 13:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月25日

面白かった本

最近読んで、面白かった本です。



『世界権力者人物図鑑』
副島 隆彦 (27)
2確かに面白い本だけど・・・
3世界的グローバリズム
1ミイラ取りがミイラになっている
5百聞は一見に如かず
5真に世界を動かす面々

----------------------------
これは面白い。
とってもいい感じの「悪人顔」で写真をチョイスされていて、見応えがあります。
いろんなページで爆笑させてもらいましたが、一番笑ったのがロバート・フェルドマン。
こんなの名誉毀損で訴えられたら、100%負けるレベル。

というかさあ、「アメリカの指導者は、NYの金融財界が決めてる」なんて書いてるんですが、むしろ資本主義国家で金融業界の影響を受けてない指導者って誰よ?って思うんですが。

それとデビッド・ロックフェラーがアメリカのトップで「世界皇帝」である証拠みたいな感じで、日米欧三極委員会での写真が載ってるわけですよ。
じゃあ、日本の「王」は富士ゼロックスの小林陽太郎なわけ?
そうは思わんけどなあ。
有力者には違いないでしょうが、そんなに単純なもんじゃないでしょう。
ジャパンハンドラーズ(日本操り組)という話にしても、単に彼らは「日本族」ってだけだと思いますけどね。道路族とか厚生族と同じ。
まあ、グラビアとして、とにかく非常に面白いです。



『テルマエ・ロマエ』
ヤマザキマリ (64)
3面白いけれど大賞に値するかというと…
5著者は豪腕です。ギャグがズシーンときます。
4帯の惹句がよかった
5ルシウスの出逢うジイチャンバアチャンたちが全員善人である件
2残念な作品でした
----------------------------
古代ローマの風呂職人が、現代日本にタイムスリップして、日本人の風呂へのこだわりに驚愕するというギャグ漫画。
言われてみれば、日本人とローマ人ほど湯浴みの好きな民族はいませんね。

ただ、面白いけど、ものすごく面白いわけではない。
「聖おにいさん」と似た系統のギャグ漫画。

中村 光 (144)
5馬鹿にしすぎ
5心から笑うには結構難しいかも?
4クリスチャンの私も何故か怒る気になれない
5癒し系ギャグ漫画
2うーん・・・・?
----------------------------
普通、ギャグというのは「日常あるべき主人公が、非日常に入り込んでしまう」わけですよね。
しかしこれらは逆に「非日常の人が、日常に入ってしまった」というやり方。
ギャグの基本は「アウトレンジ」「ロングショット」ですんで、その変態種になります。

↑このアウト・ロングというのは、要は「他人事」ってことです。
どういうことかと言いますと、目の前で人がものすごい転び方をすると、心配してしまうわけですね。
しかし遠くの方でものすごい転び方をされると、これは笑えるわけです。

あとところどころに、『図解古代ローマ』を種本にした描写が見受けられました。

アンドルー ソルウェー, スティーヴン ビースティ, Andrew Solway, Stephen Biesty, 松原 国師, 倉嶋 雅人 (4)
5図解 古代ローマ
4最盛期の都市ローマの一日
4眺めて楽しいローマ史の本(3)
5子供から高齢者まで万人が楽しめるグラフィック本
----------------------------
これも非常に面白い本ですので、ローマの風呂に興味を抱いた方は、ぜひご覧になられると良いと思います。



『乙嫁語り』
森 薫 (45)
5拝啓森薫様、大変残念です
5ある種ツボを直撃するキャラクター。森薫の画力に脱帽。
3すばらしい舞台なのにホームドラマ?
2面白いか??ファン向けです
5驚きの連続
----------------------------
これについては以前書きましたんで、こちらもご参照ください。



『きのう何食べた?』
よしなが ふみ (20)
4献立に困った時にも役立ちます!
4レシピ漫画
5女心のわかる料理マンガ
4漫画で料理をお勉強!!
5つい、買っちゃう
----------------------------
こうやって見ると、女性作家の漫画ばっか読んでるな。
お気に入りは、筧が「ハンター」としてスーパーに行く話、矢吹がサッポロ一番食べる話、すいかのおすそわけあたりかな。
特にゲイに興味はないんですが、私は食い物をうまそうに描いてくれる方が大好きです。

これが文章だけで、となると、『すてきなあなたに』をおすすめします。

大橋 鎭子 (3)
4心温まる本
5ゆっくりと、増えていくのがうれしいシリーズです。
5大好きな本
----------------------------
こちらは「暮らしの手帖」でおなじみの、花森安治の奥方がマイペースな感じで書いているエッセイです。
私の妻の実家に全巻置いてあって、初めて知りました。
たまに(いや、わりと)「そんなの参考になるかっ」という超高級レシピを紹介してくださいますが、それもひとつの味として許せる良い文章です。



『帝国陸軍 見果てぬ防共回廊』
関岡英之 (3)
4ドンキホーテ、それともgrand design?
3奥付の資料一覧は有用
5平成の『東亜先覚志士紀伝』である
----------------------------
防共回廊というのは陸軍による計画で、
1,モンゴルとウイグルの独立を支援して、反共親日国家を樹立する。
2,ソ連の南下を妨害し、中国共産党を包囲する。
3,東アジアの赤化を阻止する。
という世界戦略。

私は昭和の帝国海軍が大嫌いで、昭和の帝国陸軍には「この小役人どもめ……! これだから東北出身軍人は……ぶつぶつ」なんて思ってしまうんですが、こちらは壮大な地政学ロマンというか、麻生太郎の「自由と繁栄の弧」に通ずるものがあります。

麻生 太郎 (9)
5柔軟な対中国政策(文庫本のコピーです)
4おそらく総理がご自分で書かれた理念の書
3日本外交を多少評価できるがいまいち。。。。
4日本外交の臨場感
3もっと麻生氏の根本的哲学を知りたい




あと私事(というかそれを書くためのブログですが)で、このたび日本文芸家協会に入会しました。
文芸美術健康保険組合への加入手続など、役に立つ方にはとても役に立ちそうな情報などをそのうち書いていこうかなと思います。
タグ:Book diary
posted by tk219 at 19:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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