2011年09月01日

8月に観た映画まとめ

Facebookは毎日投稿するには実に便利です。8月分は以下。

ハート・ロッカー

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2004年夏。バグダッド郊外。アメリカ軍爆弾処理班の若者3人の38日間の任務を描く。
明確で筋道だった物語はなく、「戦争モノ」というより「戦争」を描こうとしたのかな、というのが率直な感想です。
通常、物語では「その現場に放り込まれた人間は、何を感じるか」が大きな焦点となります。ですから、普通は知らない仕事や場所というのは、それだけで魅力になる。その「現場」の最たるものが戦争で、そこに行った者にしか判らないことは多い上に、戦場の中でも特定の地点・状況に入った者でないと判らないことがあります。
しかし外部の者は、それを想像すらできません。ですから大抵は「人の生き死に」だけを考えます。しかしそれでは生き残った者が抱える問題が見えません。私はイラクに行ったことはないので、本作が描くものがリアルかどうかは判りません。
が、ただ「生き残った者の問題」を抽象的な心理描写に頼らず、「現場」を乾いた視線で描いたのは大したものだと思います。

恋とニュースの作り方
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長年勤めた地方局をクビになり、なんとか全国ネット局の超低視聴率番組のプロデューサーとなった主人公。番組を立て直すため憧れのベテラン報道キャスターを抜擢するが、これがとんでもない頑固者。視聴率も下がるばかり。打ち切り宣告を受けた主人公は、視聴率を上げるため奔走する、というお話。
仕事だけの人生なんて虚しいだけ、けれど着実にキャリアアップして向上したい、自分という存在をこの世界に輝かせたい、もちろん自分の全てに理解のあるパートナーもいなきゃ! という欲張りさんな主人公です。
恋にお仕事、ふたつ同時に試練を受けて、人間的にも成長する。まさに直球ど真ん中、王道まっしぐらのコメディ。この手の作品に興味のない人は、最初からタイトルで避けるでしょうから問題なし。後くされなく、軽く観て楽しめる良作でした。
ただ最近、男が主人公でこういう作品ってあまりない気がします。ウケないんでしょうか。「摩天楼はバラ色に」とか大好きなんですけど。

パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会
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指名手配中の銀行強盗である主人公が、正体を隠して豪邸に逃げこむ。しかしそこの主人は恐ろしい秘密を隠しており、「恐怖の一夜」が幕を開ける、というお話。
悪党とはいえ凡人の主人公が、ハンニバルやアニーやジェイソンの自宅をわざわざ訪問しちゃったようなものです。
ただしやってきた強盗を無理やり歓迎し、延々と続く豪邸主人の独演会はかなりアホらしいです。「ミザリー」みたいな胃が痛くなる展開ではありません。特にプールで一緒に泳ぐところなどは爆笑必至。
普通なら強盗に押し入られた家主に同情するところなんですが、あまりにも運の悪い強盗がかわいそうになってきて、ぜひとも逃げてほしいと思えてきます。人間というのは勝手ですね。
しかし面白いのは前半60分。後半30分はどんでん返しといえば聞こえがいいですが、「こんなオチはどうだ」「それだと矛盾が」「じゃあこうする」といじくり回す内に訳のわからん話になったという印象です。一応、辻褄は合ってるようですが。

クワイエットルームにようこそ
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フリーライターの主人公。目覚めると閉鎖病棟で手足を拘束されている。やってきた恋人に聞くと、どうやら睡眠薬のオーバードーズで倒れたらしい。なぜこんなことに? 自分は何をしたのか? というお話。
精神病院にいるまともな主人公、というと「カッコーの巣の上で」を思い出しますが、こちらは途中から主人公もまともじゃなかったことが明らかになるという、ミステリー仕立てとなっております。
ただし重い話題を軽いノリで料理しているため、当初は明るい気持ちで作品に入り込むことができます。主治医として庵野秀明が出てきたのは驚きました。
前半はブラックユーモアとして笑っていられますが、だんだんもの悲しくなってきます。ただし最後はさわやか。
蒼井優が拒食症?患者の役で出ていますが、ただ痩せてるというだけでなく、何か恐ろしいものを背負っているようだがそれを表に出さない女、という難解なオーラをまとっていて、「出来る女優」というのは凄いなと感じ入りました。

ザ・ロイヤルテネンバウムズ
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ビル・マーレイつながりで。
かつての「天才一家」テネンバウム家は、父親の過ちで崩壊。20年後、父の策略で再びひとつ屋根の下に集った一家が、家族の絆を取り戻すというお話。
家族ドラマというのは、基本が「どこにでも、誰にでも起こりうる日常的なお話」がベースです。しかし本当に普通だったらドラマにならない。
家族というものは、帰る場所であると同時に、人々を不合理にしばりつけるもの。それは鳥かごのようなもので、扉が閉まりっぱなしでは飛べない。鳥として翼をひろげて大空を飛びたいけれど、荒れ模様や天敵で死にかけることもある。だから時にはカゴに帰りたいときもある。だから鳥かご。本作でも「ずっと閉じ込められている鷹」がいて、その解放が象徴的に描かれます。
で、家族というのは一番敵対する者こそが、実は最も相手を気にかけている。アンビバレンツというか。最もダメ人間な奴が、家族にとって最も大事な結節点となるわけです。
画面がすごく計算された不安定さ(カメラが揺れてるとかじゃなく、常にどこか何かしらしっくりこない)があって、かえってそれが気持ちいい感じがします。

知らなすぎた男
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レンタルビデオ店員の主人公が、ロンドンの弟を訪ねる。しかし構ってられない弟は、主人公を演劇体験ゲームに放り込む。しかし謀報部からの電話を間違って受けてしまい、周囲に殺し屋と勘違いされてしまう、というお話。
勘違いシチュエーションコメディの金字塔ということでタイトルだけ知っていて、観ていなかった。
主役のビル・マーレイのたたずまいが良くて、少々強引だったり不自然だったりしても、こいつならしょうがないという空気をまとってます。そこがすごい。
警察、諜報部、外務省、殺し屋、拷問魔などと次々に現れるが、本人は芝居だと思ってるから平気の平左。やっぱり男は「堂々としてる」ことが大事だな。ものすごい危機の連続なのに、自信満々で切り抜けていきます(本人は切り抜けてる自覚がない)。最初から最後まで笑わせていただきました。
しかもコメディだからって容赦せず死人が出るのもいいです。三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」を観て、面白いんだけどなんか物足りない、なんか違和感がある、と感じてたんですが、僕が観たかったのはこういうのです。

バンクジョブ
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面白かった!
1971年ロンドン。ある女性がドラッグ所持で税関で捕まる。彼女は罪を軽くする見返りに、銀行の貸し金庫にある王室スキャンダルの写真を盗み出すよう、英国秘密情報部より要求される。彼女は主人公たちを引き入れ、地下道を掘って金庫に押し入る、というお話。
ベースは実話だそうです(捜査情報は2054年まで封印)。銀行襲撃というとお金と思いがちだが、貸金庫はそうじゃない。裏帳簿や闇情報などなどが秘匿される場所でもあるわけだ。で、主人公は女にだまされ、金銀財宝を盗むつもりが、触れちゃいけない秘密を握ってしまう。しかし基本が素人集団だから、そこらじゅうでボロが出る。安心できず観客はハラハラしっぱなし。容赦なく人は殺され、絶体絶命がある。敵組織は複数。しかし主人公はからくも危機を切り抜ける。たまりません。
あとやっぱり、ジェイソン・ステイサムのヒゲがすごい。日本人でこんなヒゲ生やして二枚目ができる人、いるかね。一見の価値あるヒゲです。

小説家を見つけたら
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物語の冒頭は、最近あまり観なかった感じのかなり静かな展開。ただしそこはショーン・コネリーの「俳優力」みたいなものがあって、彼が演じる小説家と主人公の黒人少年がどう絡むのかという興味が、作品を観る持続力となって作用します。大物俳優の使い方としては非常に正しい。ということは、つまりショーン・コネリーがいなかったら、ちょっと心配になるお話ではあります。
全体的に「じわじわくる」話で、ものすごく感動するというものではありません。
ただ人間が最も感動する要素のひとつに、「秘された功績を周囲が認め、賞賛すること」があるのですが、それを強調するがあまり、主人公の敵であるクロフォード先生を、必要以上にコケにしている感もありました。
ラスト、急に端役でマット・デイモンが出てきて驚きます。なんだかんだ言ってハッピーエンドです。こういう映画はそこが重要なところです。

バンテージポイント
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スペインでサミットが開かれ、広場の演説で狙撃事件発生。アメリカ大統領が銃弾に倒れる。その23分間を8つの視点から描き、SPの主人公が犯人を追いつめてゆく、というお話。
暗殺現場を複数角度・視点から描写し、同じ映像を何度も何度も使う非常に省フィルム仕様となっております。ただ予告を観た時は、複数のカメラ映像を組み合わせて頭脳を駆使した謎解きをするのかと思ったのですが、単に複数視点で全員の立場を説明し、観客が2回観なくても1回で全部判るという親切設計なのでした。
なんとなく「24」や「ロスト」といったアメリカTVドラマの手法のような気がします。すごくややこしいことしてるようで、実際はそうでもないという。
しかも後半は謎解きもへったくれもなく、カーチェイスの迫力映像で押し切ります。
ラスト、バラバラだった登場人物がうまいこと一堂に会します。脚本家はもはやパズラーですね。
見終えてすっきりして、すぐに忘れる。そういう作品です。

バルトの楽園
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第一次大戦で中国山東省・青島を根拠地としていたドイツ軍。日本軍との戦闘に敗れ、捕虜4700は全国の収容所に送られる。その中のひとつ、四国は板東俘虜収容所での日独の交流を描くお話。
キャストは豪華だし、戦闘シーン(ものすごくショボイ)以外はきちんと作っていると思うのですが、いやに手作り感があります。とってつけたような展開や俳優への演出不足と思われるシーンも多く、つまりは下手なんです。小学校の体育館で観た文科省推薦マイナー作品の匂いがします。しかし昨今のテレビ映画のような「映画なめてる」感はありません。有名無名の人々が手弁当で集ったような、妙な「楽しさ」にあふれています。
捕虜の中には神戸の菓子店ユーハイム創業者である、カール・ユーハイムと思しき人物もいます。ドイツ人捕虜は他にも日本永住を選んでいて、銀座「ローマイヤー」や、日本ハムの前身である徳島ハムなども彼らの手によるものだそうです。
しかし反戦映画としては一級品です。大事なのは戦争の悲惨さや自己犠牲を伝えることではなく、人間同士が信じ合うこと。そして文化・芸術には言語を超えた力があること。
日本人に必要なのは海外を学ぶこと以上に、自国を知ることでしょう。ラストのカラヤンは正直言ってダサいですが。

パコと魔法の絵本
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舞台は病院。お金持ちの偏屈ジジイ・大貫は、ある日パコという少女を殴る。パコは記憶が1日しかもたない少女。そんなパコが、翌日なぜか大貫を覚えていた。ただし殴ったのではなく、頬に触ってくれた人として。大貫は後悔し、少女にできることを考える。それはパコが毎日読む絵本の劇を作ること、というお話。
役者が妙に声を張るし、舞台劇に映像演出をありったけ足したような作品だなあ、と思っていたら、やはり元は舞台でした。良くいえば豪華、悪く言えばごちゃごちゃ。そこが好みの別れ所でしょう。
極端にポップな表現でカモフラージュされていますが、この病院は様々な「弱者」が集う場所。その弱さとは、自らの弱さを認められない弱さ。強くあらねばと思いこむ大人たちの姿です。そんな彼らが各々のトラウマを乗り越え、再生していくのが物語の根幹。しかし筋は明解で、子供向けと言えなくもありません。
ラストは、これで良かったのだと思えるいい終わり方でした。面白かったです。

おまえうまそうだな
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草食恐竜に拾われて育ったティラノサウルスのハート。ハートは成長して自らの矛盾を悟り、群れを出ます。そんなハートがアンキロサウルス(草食恐竜)の赤ちゃんと出会う。ハートが「おまえ、うまそうだな」。すると赤ちゃんは「ありがとう。『ウマソウ』ってとってもいい名前!」
以来ハートはウマソウを食べずに慈しみますが、自分の背負った哀しみを繰り返さないために、ある日「もし俺にかけっこで勝ったら、ずっと一緒にいてやる」。ハートと離れたくないと、一心不乱に走るウマソウ。その背中を見つめ、ハートは反対方向に駆けてゆく。このシーン、子供に付き添った父親客の100%が泣いたはず。
これが中盤です。クライマックスでも良かったかも。
本作のいい所は肉食恐竜がちゃんと、生きて抵抗するエサを食いちぎること。子供向けでありながらごまかしがないのは素晴らしい。
ただバトルシーンがカプコン格闘モノのエリアルコンボみたいになってるのは笑いました。時代でしょうか。

川の底からこんにちは
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仕事も人生も妥協して生きるOLが、ダメ男の恋人・連れ子とともに帰郷。病に倒れた父の営むシジミ工場を立て直す、というお話。
物語として大団円を作るには、まず障害や衝突がないといけませんが、普通はそれをやむを得ない運命や避けがたい誤解などで組み立てます。ところが本作では、その原因が「主人公の妥協」に起因するため、非常にイライラさせられる。ただし物語が中間点を越え、主人公の人格が変貌し始めると俄然面白くなります。ほんと面白い。終わりよければ全て良しです。
ただ個人的には、主人公は脱力した無気力系で、周囲は理不尽に冷たかったりして、会話は基本ぼそぼそで、なんつうか?オフビート?っていうんですか?みたいな作品はちょっと、うんざりかなあと。
かつて漫才界にダウンタウンが登場して、若手のボケがみんな斜に構えたシュールな体に染まったように、映画もそういう流れがあるんでしょう。本作は前半がそういう古い感じです。過渡期なのかもしれません。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。
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西原理恵子の夫で、アルコール依存症だった場カメラマン鴨志田穣の原作を映画化。浅野忠信の自然体演技が痛々しさを感じさせず、なんとなく画面をいい感じに「ぬるま湯」にしていて観やすい。奈良漬け食べちゃって、そこからビール、日本酒と飲んじゃう流れがすごくいい。いい食べ方するんですよ。何度も繰り返し観ちゃいました。あと精神病院入れられて、胃腸やられてカレーが食えないというシーンは笑える。
本人がアル中ということもあって、たまに非現実的なシーンが入るんですが、やり方が上手なので言葉で説明しなくてもきちんと場面の説明になっている。台詞よりも映像で表現するというのは映画の基本だと思いますが、それをさらっとやってます。
でも言わなきゃわかんない人もいそうな所(たとえば奈良漬けはお酒入ってること等)は、小さくつぶやいて説明したりして、ほんと親切。
日本映画って、金のかかってない作品は面白いんだよなあ。なんでだろ?
あと「毎日かあさん」の読者としては、この息子が将来からあげ食いまくるのか、とか妙な「西原家サーガ」的な広がりを感じ、ファン心理としては嬉しいかぎりです。

トロピック・サンダー 史上最低の作戦

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ベトナム戦争の回顧録を映画化しようとしたが、うまくいかない監​督が一計を案じる。
それはジャングルに俳優を送り込んでドキュメ​ントタッチで撮影すること。しかしそこは本物の戦場だった。そう​と知らない俳優たちは作り物と思い込んで演技続行、というお話。
冒頭のパロディ予告編から本気の作り込み。そして最初のエピソー​ド、あまりのことに度肝を抜かれました。そこのグロ展開がこの映​画の関所で、そこが笑えるなら全部笑えます。私自身はジャングル​突入あたりから一気に物語に入り込めました。ベン・スティラーは​あまりアクションスター役に見えませんが、立ってるだけで笑える​人なので許せます(というより彼が脚本主演監督だからしょうがな​い)。
こういう「莫大な金をかけて本気でふざける」のが、ハリウッドの​凄さですね。全てのシーンに気合いが入っていて、コメディをなめ​るな、という熱いものを感じました。
あとショーン・ペンへの悪口?が「確かになあ……」と思ってしま​った(笑)

P.S.アイラブユー
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死んでしまった夫から、毎日一通ずつ届く手紙。そこに書かれた指示に従って、徐々に前進していく女性のお話。
夫役のジェラルド・バトラーがいきなり死ぬので驚きますが、お役御免というわけではありません。これはもう、設定の勝利。こんな設定を出されたら誰でも泣くでしょ。
ただひたすら泣かすというわけでもなく、たまに「えっ」と思うような下品さや皮肉があって、過度に孤独であったり悲劇であったりせず、S&TC的な欧米女性をうまく中心に据えていると思います。泣けるんだけど、ニヤニヤが止まらない映画。
これはカップルで見ると、男性の器を見る試験紙になるかも。狭量な男性は、おそらくこの物語を受け入れません。なぜならこれは主人公が次の人生へ向かうためのステップであって、単純に一途な女性像を描くものではないから(俺は狭量だからよく分かるのだ)。
死ぬ者にとって相手は全てだけど、生き残る者にとっては一部でしかないし、そうではなくてはいけない。もし俺が死んだら、俺のために生きたり、俺のために死んだりするんじゃないよ……なんてクサいことを言いたくなる映画でした。
あとキャシー・ベイツは笑うと美人だという発見がありました。

シャッターアイランド
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精神疾患のある犯罪者の刑務所「シャッターアイランド」。そこで​行方不明になった患者を探す保安官のお話。
最後はもの悲しいです​。 一言で言うと〈ドグラ・マグラ〉。精神病院モノというのは大別す​ると、
1,いろいろあったけど、ふりだしに戻る
2,ぜーんぶウソでした
3,いきなり正気になった、なんかスミマセン
ぐらいに分類できると思います。
本作はやたらと前宣伝で「謎解き​」が強調されたようですが(DVDの予告編で連呼してた)、たぶ​んそういう作品じゃないでしょう。1回目観て「え?」と思い、2​回目観て「うぉーっ」となればそれでいいんじゃないかと。
ディカプリオ扮する主人公がスタッフを集めて尋問するシーンや、​患者からメモを渡されるシーン、看守たちが崖を捜索するシーンあ​たりでいろんな発見ができて面白かったです。
気になったのは洞窟​に隠れていた某女性で、彼女の事情をよくよく想像してみたりする​と、おっそろしいなと思わされました。面白かったです。

奇跡のシンフォニー
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孤児院で育った少年が、まだ見ぬ両親の奏でる「音楽」に導かれてNYへ。
そして多くの人々に助けられ、才能を見いだされ、両親と奇跡の再会を果たす、というお話。主人公は演奏も作曲も独特な音楽の天才なのですが、とにかく終始ポケーッとして、人の話を聞きません。けれど天才だから許されます。いいなあ、天才は。
出会う人がみんないい人で、主人公のためにかけずり回ります。
ボケーッとしてるのは天才だからかと思ってたら、産みの親も結構ボケーッとしてます。単に生理食塩水の濃さからくるものだったんだな。
で、この映画がすごいのは、「天才少年による音楽」をちゃんと演奏すること。これ、実はすごく難しいことですよね。
たとえば天才画家を描く映画があるとして、監督がどんな絵を用意しても「これが?」と思う観客はいるわけです。けれど本作はそれをババーンとはっきり表現していて、しかも割と納得のいくものでした。ちなみにテーマ音楽担当はハンス・ジマー。

センター・オブ・ジ・アース
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僕が好きな小説に、ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』や、その続編であるヴェルヌ『氷のスフィンクス』、ラヴクラフト『狂気の山脈にて』、はたまたドイル『ロストワールド』といった大冒険ものがありますが、中でも何回読んだか判らないのがヴェルヌの『地底旅行』です。
で、この映画はその「地底旅行」の現代版子供向けリメイクといった所。
元の「地底旅行」には、人物のひとりが地底で迷子になるシーンがあって、そこが本当に怖くて、今読んでも恐ろしいんです。しかしこちらで同じことがあっても、常にうまく進むので危機感がありません。都合良く行くんだろうな、と思ったら全くその通りで期待を裏切らない。
元は3D上映だったようで、そう知っていれば納得のシーンが多いです(大きい物体が不自然なまでに、やたら画面正面に向かってくる)。
良くも悪くも子供向けの「空想科学大冒険」。細かい部分はおいて、童心に返って楽しむ作品だと思います。

小さな村の小さなダンサー

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神戸に戻ったので、また映画観てます。中国山東省から北京舞踏学​院に選抜され、そして米国へバレエ留学。そこでアメリカ人女性と​結婚し、亡命を選択した李存信の実話を映画化。
先祖代々貧農で兄弟も皆、農民になるしか選択の余地がない。そん​な境遇から脱出するには、抜きんでた才能を「発見」されること。​そして見いだされた少年少女は仲間たちと切磋琢磨し、恋をします​。けれど「才能の差」は歴然とあって、どれだけ想い合っても、レ​ベルが違えば離れていくしかない厳しい世界。それはアメリカに留​学しても変わりません。
終盤、ついに亡命した主人公を認めた中国政府は、両親をアメリカ​へ向かわせます。そしてサプライズとして主人公の舞台を両親が観​賞するんですが、なぜこんな変な演目を?とは思いました。現代舞​踏に慣れていれば普通なんでしょうが、門外漢の私には、感動が若​干さめる効果がありました(笑)。
けれどいい作品なのは間違いないです。主人公を演じる方の踊りも​素晴らしい。

紀元前1万年
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今日は鈴鹿ですので映画を観れません。そこで以前、あえて書かな​かった作品を。
『紀元前1万年』です。これはすごくつまらない。本当につまらな​いです。『アポカリプト』と似てるのにものすごい格差。割とパパ​ッと展開してるのに話がすごく退屈。それでも話をまとめられない​からナレーション頼り。
そもそも主人公の住んでた地域は雪が残る高山地帯で、八甲田山み​たいな雪山越えをするんですが、すると次は広大な砂漠。一体ここ​、地球のどこだったんですか?
で、大河を渡ると敵部族の大都市がある。これが笑っちゃうくらい​メガシティ。
お話の冒頭で、そこの敵部族が馬に乗って主人公の村​を襲います。あの大河、砂漠、雪山を越えてきたわけですよね。た​かが数人の男女を奴隷にするためにどれだけ苦難を乗り越えてきて​るんすか。
そこら辺から何度も寝落ちしたので、頭カラッポで撮影したとしか​思えない落とし穴シーンなどあって笑いましたが、何か言えるほど​記憶がありません。

ベスト・キッド
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リメイク版。「ウィル・スミスの息子が北京に行って、ジャッキー​・チェンにカンフーを習う」って、それのどこが「The Karate Kid」なんじゃい!と言いたくなる本作ですが、かなりいいです​。
話の筋はそのままに、うまく換骨奪胎してます。何より主役のジ​ェイデン・スミスの身体能力が素晴らしい。
僕が小学生の頃、毎週どこかのチャンネルでジャッキー映画を再放​送していた気がします。つまりそれだけ観ていたわけです。そんな​ジャッキーがハリウッド進出してからは変なコメディばかりやらさ​れていて、忸怩たる思いがありました。
しかし本作では、ジャッキ​ーがハリウッドで渋くシリアスな役をやっている……そして、子供​時代の憧れだったジャッキーが、年をとって師匠となり、後継者に​その精神を伝えようとしている……そのダブルパンチで思わず目頭​が熱くなりました。
しかし主役は完全に少年です。ジャッキーに食われず、苦難に打ち​勝つ少年を見事に演じています。お見事です。

狼たちの処刑台
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マイケル・ケイン主演のハードボイルドな復讐もの。前半は復讐に入るまでの「理不尽な仕打ちに耐える高倉健状態」なわけですが、そこの抑えに抑えたトーンがかっこいい。荒涼とした、寂寞たる映像が主人公の孤独感を表現しています。
そして後半、愛する妻を失い、親友を失い、遂に男は復讐の鬼と化す!
そんな男の姿にテンションが上がらない野郎なんているのでしょうか。たとえ女に鼻で笑われようと、男はこういうのがたまらない。
こうなってくると後半の復讐がどれだけ「燃えるか」が重要になります。
しかも主人公は元海兵隊員とはいえ足下もおぼつかない老人。さらに肺気腫も患い、セガールやブロンソンのような超人的活躍ができるわけじゃない。その弱々しい生身感がこの物語をさらに渋くしています。
また復讐もので大事なことは、「それを追う、または見守る女性がいる」こと。もちろん本作はぬかりありません。
ラストもすっきり。これはいいですよ。

アウトレイジ
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北野武のヤクザ映画。ぼったくりバーのトラブルから、ヤクザが怒鳴り合って殴り合って殺し合う。
表向きはガチだけど実はプロレスだったり、かと思えばプロレスと見せかけてガチのやり合いだったり。
どの登場人物も必ず「コラァ」っていうので、何回言うのかなーって数えてみようと思ったんですが、あまりにもコラコラ言うのでやめました。
ヤクザに就職すると大変だなーと思うんですが、それ以上に飲み屋さんで働く女性は、すぐ横でコラコラ問答されまくりなわけで、もっと大変ですね。
全体的に画面の安定感がすばらしく、見ていてすごく気持ちいいです。音(音楽じゃなくて場面の生活音)がいいのかな。専門的なことは判りません。
またこれは、ヤクザとちょっとでも係わると、いずれとんでもないことになりますよという教育映画ですね。
文科省推薦でどうですか。
あと、ラーメン屋の奥で、遠景でニヤ〜ッと笑う椎名桔平がすごくいいです。その後のお箸の使い方はよしていただきたいですが。
タグ:movie
posted by tk219 at 14:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・小説・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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